航海士は、おもに大型船に乗り組み、甲板部で指揮をとります。大型船は、甲板部・機関部・通信部などに分かれており、甲板部では、船のスムーズな進行や積み荷に関する仕事をしています。出港の前には、船の進むルートや立ち寄る港のようす、気象の特徴や変化、航海する距離などを調査します。そして、機関士と相談しながら計画を立てます。船が進む間は、自分の目とさまざまな装置をつかって船の位置を確認するなど、航海の安全に気を配ります。水先案内人とは、客船やタンカーが港を出入りしたり、河川などせまい水路を通る時、その船に乗り込んで安全に航行できるよう導くための案内人です。全国に 35の水先区があり、そこに出入りしたり通過する船に乗り込んで、船長に地形や気象の状態を伝えて、どう運航するかをアドバイスします。

航海士は、担当する船が貨物船や客船の場合は、甲板手といっしょに船の進む状況や周囲の船の動きを監視する航海当直があります。外国へ向かう航海士の場合、乗船中はほとんど休めないかわりに特別な休暇制度があり、船を下りてから長期の休暇が与えられます。水先人は所属する水先区にもよりますが、日中と夜間の交代制で行うことが多いようです。船の到着や通過する時刻によっては、早朝に出勤することもあります。

航海士も水先人も、海が好きであることが第一条件です。航海士は甲板部を指揮をとりながら、乗客や貨物の安全を守らなくてはならないため、強いリーダーシップやしっかりとした判断力、責任感や冷静さなども必要です。交代制で働くので、睡眠時間も不規則になることが多く、こうした条件にたえられる体力と精神力も欠かせません。また、水先人はさまざまな船に乗り込むため、船長や乗組員によい印象を与えるような気配りや、船長に不安を与えることなくじょうずにコミュニケーションをとる能力も必要です。

船は、安い運賃で大量の輸送ができるため、貿易のさかんな日本では、輸送の手段としてなくてはならないものです。最近は、船内にもコンピュータが取り入れられ、先端技術の知識をもった人材が求められています。また、外国人の船員と乗りあわせることも多くなっているため、語学力や国際性もより重要となってくるでしょう。