『アニメを制作 アニメを作るには、どんな職種やステップが? 』

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2021.11.19
アニメーションの作り方 表紙

Netflixやprimevideoでのオリジナルアニメの配信など今年も日本のアニメが世界的な人気になっていたね。
日本のアニメ制作企業に対する動画プラットフォーマー(Netflixやprimevideoなど)の熱視線はこれからも続きそうだから、アニメを将来の職業に、と考えている人もいるかもしれないね。
でも、キミが考えているのは「アニメーター」「声優」くらいかも?
実はアニメーションの制作は最近こそコンピューターが取り入れられて省力化が図られたけれど、それでも実に多くの人、多くの職種によって成り立っているんだ。
今回は制作の行程を追いながら、かかわっている職種を紹介していこう!


「プリプロダクション」 企画や設定を作る


「プリプロダクション」とは原画や動画、背景美術など「実制作」より前に行われる前の企画段階の作業全般のことだよ。

企画

よく劇場用アニメのテロップに「製作委員会」という文字を見ることが多いよね。
アニメ作りには多額な資金や、ぼう大な時間、大勢のスタッフがかかわるので制作会社や放送局、出版社、スポンサーなどが集まった"製作委員会"を立ち上げてリスク分散する方法が増えてきたんだ。
企画とは、その関係者が会議を重ねて、ターゲットはだれなのか、原作付きか、オリジナルか、監督はだれにするのか、キャラクターデザインは、など作品の方向性とともに、広告掲載媒体はなににするのか、どのような企業をパートナーにして、どのように収益を上げるのか、などのビジネス的な要素も会議で詰めていくことだよ。



シリーズ構成

企画が通り、予算がついたらテレビアニメの場合には監督やメインの脚本家がシリーズ全体をどのような話にまとめるかを考えるよ。
この流れを設計するのを「シリーズ構成」と呼ぶ。原作の小説やマンガがある場合にも、テレビアニメの話数に落とし込んだり、アニメーションとしての表現に合わせて構成を考えていくんだ。

脚本

シリーズ構成にしたがって、脚本家が各話の脚本を書く。
脚本は小説などと違って、柱書き・セリフ・ト書きが明記されている必要があるよ。
柱書きとは脚本のなかで「撮影対象」を明確にしておくものなんだ。
だからまず場所の記載が必ず必要。次に時間の指定。「朝」「早朝」「夕」「夜」「深夜」などの文言で指定しておく。
また、ト書きとは登場人物の動作や行動の指示を書いた部分だよ。
いつも読んでいる小説とはずいぶん違う感じがするね。脚本は書店などで手に入れることもできるから興味がわいたら読んでみるといい。

設定 デザイン

キャラクターのイラスト
アニメに興味を持っている人がいちばんみたいところじゃないかな?
キャラクターデザインはもちろん、SFなどの場合はメカのデザインや設定、重要な場面のイメージボード、全体の色彩設計などアニメの世界観をこの段階で決定していくんだ。





絵コンテ

絵コンテに悩むディレクター

脚本やイメージボードができたあと、それをもとに監督や各話の演出家がカット割やカメラワークのイメージを規定していくもの。
絵コンテをもとにして作画や撮影を行なっていくので、作品の演出方法、作品の質を決定する重要な仕事なんだ。


「プロダクション」原画、動画、背景美術などを作る


いよいよ動画を作っていくよ。実際に原画、動画、背景美術などを生産していく行程を「プロダクション」と呼ぶんだ。

絵コンテ

脚本やイメージボードができたあと、それをもとに監督や各話の演出家がカット割やカメラワークのイメージを規定していくもの。
絵コンテをもとにして作画や撮影を行なっていくので、作品の演出方法、作品の質を決定する重要な仕事なんだ。

レイアウト

レイアウトとは、監督や演出が描いた絵コンテにしたがって、そのカットに登場するキャラクターや背景がどのように配置されるのか、どのように動くのかということを指定する設計図のこと。
カメラワークの指定もレイアウトで行うんだ。
アニメは分業制でつくられているので、こまかな設定をしっかりと書き込んだレイアウトがあることによって効率的な仕事が成り立っているんだよ。

原画

原画"

動きのなかのキーになる部分の作画のことを「原画」というんだ。
原画によってキャラクターの動きが決定づけられるため、非常に大切なパートだよ。
原画の担当は「原画マン」と呼ばれ、演出や作画監督と話し合ってどんな動きをするべきかを理解して原画を作っていく。
以前はもちろん紙と鉛筆で書かれていたけれど、現在ではコンピューターにペンタブレットをつなげたり、iPadなどを使ってデジタルで制作することがほとんどだよ。
複数で担当する場合もあり、そのときはキャラクターごとやシーンごとに担当していくよ。



動画

原画と原画のあいだの動きを補完する仕事。
決められたタイムシートの指示どおりに、決められた枚数を制作する。
動画を描く人は「動画マン」と呼ばれるよ。動画は物量が必要なので、動画マンには正確性と速さが求められるんだ。
動画に習熟してくると原画マンになっていくのだけれど、その二つの職種の性格がずいぶんと違うため、原画マンにはならず、動画専門で生きていくということもあるよ。
完成した動画は「動画検査」で問題がないかをチェック、彩色に進んでいくんだ。

仕上げ

かつては動画の線をセルロイドでできた透明なシートに移しとり(トレース作業と呼ばれた)、その裏から塗料を塗って色をつけていた。
現在では動画をデジタルデータとして取り込み、ペイントソフトなどで彩色している。
職業としては仕上げ作業から始めて、色指定をする人、色彩設計をする人へとステップアップしていくよ。

背景美術

レイアウトをもとに手書きやデジタルによって背景画を描く。
3DCGなどが使われるケースも多い。
30分のテレビアニメであれば1話につき200~400カットほど必要。劇場アニメであれば1500カット前後ぐらいが多いよ。
だいたい1週間で20~40枚くらいの背景を仕上げるスピードで仕事が進んでいくんだ。



3DCG

CGのイメージ

描いた絵を連続させて動いているように見せる「セルアニメ」と違い、3DCGのアニメは、3Dのオブジェクト(人やもの)をモデリングし、プログラムによって動きをつけて動画にしたもの。
モデリングなどに初期コストはかかるけど、一度モデリングしたら同一素材を使い回せるのでトータルでは安く済むことも。
手書きとは違う風合いなどが生きる場面などもあるよね。
一方で『セルルック』という方式もある。
『セルルック』とは日本の手描きアニメーションに似せて制作したCGアニメーションのこと。
テクスチャーの塗り分けで輪郭線を浮かび上がらせることによりセル画で書いたような平面感を出すことができるんだ。

撮影 特殊効果

昔は撮影台に「セル画」と背景美術を重ねて真上からカメラで実際に1枚1枚撮影していたんだけど、現在はソフトウェア上で合成している。
さらにCGを使って画面にさまざまな効果が加える。たとえば光やぼやけの表現なんかだね。
それら映像効果を加える作業を「撮影効果」「特殊効果」というんだ。

制作進行

脚本やイメージボードができたあと、それをもとに監督やコンテ完成後から納品までの「制作管理」を担当。アニメの「制作」を円滑に「進行」する仕事のこと。
動画マン、原画マン、背景美術との連絡や交渉、成果物の受け渡し、スケジュールの管理・調整など業務がある。
さまざまなキャリアの出発点となる制作進行は、業務を通して人脈や経験を蓄積していける仕事と言える。制作進行から、制作進行を統一する制作デスクに昇進、制作デスクの仕事が完璧にできると、プロデューサーの道が待っているそうだよ。


「ポストプロダクション」音響、編集


動画や背景を作ったあとにおこなう「音入れ」や「編集」の作業を「ポストプロダクション」と呼ぶんだよ。

編集

アニメの場合、絵コンテにすべての映像とその長さの指示があるので、絵コンテ通りにカットを並べれば映像が完成する。
そのため実写ほどおおはばな編集による変更は少なく、カットとカットのあいだの不要な部分を整理して、1本の映像にまとめ、見る人が楽しめるように調整するのが編集の仕事になるよ。

アフレコ

アフレコのイラスト

中学生のあこがれ。声優さんが活躍するのが「アフレコ」だ。あれ?「アテレコ」というのもあるよね。どう違うんだろう?
「アテレコ」は映像に声を「"当てる"レコーディング」から「アテレコ」と呼ぶようになったといわれているよ。
アフレコは「アフターレコーディング」の略で、つまり映像の後に声の収録を行うことを指しているんだ。 ということはつまり、「アテレコ」はこのような録音作業全体を指しているけど、「アフレコ」はそのなかでもすでに映像が完成しているものに対して行う作業ということだね。
しかし、最近は「アテレコ」も「アフレコ」も同じような意味で使われていて、「アテレコ」が使われることが少なくなったようだよ。
ただ、「アフレコ」といってもアニメの場合、いつも進行状況が厳しいため、映像ができあがっていないとか、線だけ のような状態でレコーディングする場合も多いらしい。
それでも各キャラクターを担当する声優が(完成していない)映像に合わせて、セリフを吹き込めちゃうのはスゴいよなー。





ダビング

家庭用のビデオをコピーすることもダビングって言うけど、アニメ業界のダビングとは映像に合わせて、セリフと音楽・効果音をミックスし音量調節をする作業のこと。
ここでの素材の状態はすべて色がついた状態でないと大変。
線しか映っていないと、このあとどんな画面になるのかわからないじゃない?
画面がわからなければ、どんな効果音を入れるべきなのか判断できないんだ。
たとえばおなじ「足音」でも土の上を歩いているのか、草の上か、砂利の上かで音が違うでしょ?
逆に言うとダビングで最終的に画面に命が吹き込まれるってことだね。これが終わって完成だ。


面白いものはこの世界にいっぱいある


どうだったかな? アニメーションは本当に大勢の人間の情熱と才能で作られていることがわかってもらえたかな。
最後にあの宮崎駿監督の言葉を伝えよう。
宮崎監督はアニメーションについて、
「面白いものはこの世界にいっぱいある。キレイなものや、まだ出会ってないかもしれないけれど、いいこともいっぱいある。それを子どもたちに伝えたい」
最近のアニメーションってどんどんリアルな(ダークな部分も含めて)世界を表現していっている面もあるけど、アニメは本来、この言葉通りに子どもたちに「キミが生まれてきたこの世界は素晴らしいよ」と伝えるメディアだと思う。
キミがアニメーションの世界に入っていくなら、いつもこの言葉を思い出してほしいな。

どんな仕事かな?と思ったら「ミライ科」を見てみてね!


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2021.11.19

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