『あしたから麗しいわたし』
「はああ、なんでこんなに違うのかしら・・・」
リビングのソファで桜がため息をついた。
「どうしたの、ねえちゃん?」
弟の哲が心配そうに声をかける。
「別に。ただの写真よ」桜は笑って言い返した。哲は姉が見ていたタブレットに映る写真をのぞく。
「友達のアキちゃんだよね、これ」
「そう、アキ。どうしてこんなにきれいなのかなって、ちょっと思っただけ」
「へぇ、確かにアキちゃん、立ちかたとかすごくカッコいいよね。」
哲は画面をじっと見つめた。
「それだけじゃないのよ。食べるときだって、メモを取るときだって、なんだかぜんぶの所作がすてきなのよ。そう、麗しいの!」
「ふーん」
「あー、私もアキみたいに優雅になりたいなって思って。学校が始まる前にちょっとがんばってみようかなー」
「どうやって?」
「うーん、まずは姿勢を良くするとか、もっとていねいに話すとか、かな」
桜は考えながら答えた。
「それと、ダイエットもしなきゃだし、もっと健康的な生活を心がけてみるとか? そうだ!」
「な、なに?」
「あしたからがんばるとして、ほら、買ってあったシュークリーム、食べちゃおう!」
「・・・それがいけないんじゃないの?」
「だって、あしたまでシュークリームがあったら、あしたからがんばれないよ。今日中に無くしてしまわないと! ああ、だめだめ! シュークリームが憎い! 怖い!」
「それ、落語の『まんじゅうこわい』なんだけど」




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