『中二病のすべて』

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2024.08.13


「ユウジさあ、その『我は選ばれしもの」って口グセ、笑えないよ」
「え? オレそんなこと言ってた?」
「人に聞こえないようにしてるんだろうけど、なおさら呪文ぽくて不気味」
クラスメートのエリはズケズケと言った。
「それに今日はさ、現実逃避的な空想っていうの? 『おれの魔法が発動したらすごいのに』って下駄箱につぶやいてたよ。下駄箱にどんな魔法をかけるのよ」
くすくす笑う。
ユウジは顔を赤らめながら、
「それはファンタジーが好きだから...」ぼそっと言った。
「最近、やたらとオトナに反抗的じゃない? 先生に『おれのやりかたでやる』って言い返してたじゃん」
「なにが言いたいんだよ?」
ユウジは少しムッとして言い返した。
「べーつーにー。ちょっと中二病よねってこと」
「ち、ちげーよ!! そんなんじゃねーよっ!!」
「じゃあ、どんなのよ?」
「・・・・・」
エリはユウジの肩に優しく手を置いた。
「まあ、だれだって一度は通る道なのよ。中二病、楽しんでよね」
「エリだって・・・」
「え?」
「エリだってだって、ずっと『ムー』読んでるよな。宇宙人とか超能力とか信じてるじゃん。去年1年間、右目に眼帯して、左手に包帯巻いてたよな!」
「あ、あれは」
「あれは、私の持っている聖なる力が暴発して無辜(むこ)の民を傷つけないためよ・・・!」
エリはそういってユウジの顔をじっと見た。
そして、制服のポケットから眼帯を取り出して、右目につけた。









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2024.08.13

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