『キミはキミでいいじゃない』
まだまだ暑いけど、夏休みはもうすぐ終わり。
新学期がもうすぐだ。
「はあ......」
ゆきのはテーブルに突っ伏してため息をついている。
「なあに？ ため息なんかついて。なにかあった？」
一つ年上の姉、はるのが見ていたテレビから視線をはずして声をかけた。
「もう新学期じゃん？ 憂鬱でさ。みんな仲良くなってるのに、私だけ取り残されてる感じがするんだよね」
「あー、わかるわかる。友達と離れている期間が長いと、不安になっちゃうよね。教室で私だけひとりぼっち、みたいなさ」
「そうなんだよね。不安でなおさらみんなに合わせなくちゃいけないって思っちゃうし」
「うーん、わかるけど、私ならぶっちぎりで無視かな」
「え？」
「そんな不安はガン無視ってこと」
「そうはいっても...」
「気にしたって、あんたはあんた以上にはなれないじゃん」
「...きっつ」
「でも、あんたはあんた以下にもならないもん。ゆきのはゆきのだよ。それでいいんじゃない？」
「......」
「だいじょうぶだよ。ぜんぶうまくいくって！」
「...そっか、ま、お姉ちゃんがそういうなら、そう思っとくか」
「お、その単純なとこ、ゆきのらしいねえ。ドーナツあるんだけどさ、食べる？」
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