『恋の始まり 恋の終わり』

「不思議だよな。付き合うまでにかけた時間は長いのに、別れるまでの時間は短いんだよ」と、ハルトがぽつりとつぶやいた。
フユヒコは少し考えてから、
「それってさ、風船みたいだな」
と言った。
「時間をかけて少しずつ空気を入れて、ようやくふくらんだ風船が、ある日突然パチンと割れちゃう感じじゃん?」
「かもな。オレとあいつも、ただふくらませただけだったのかな...」
「いや、割れた風船にだって、ふくらませた時間がちゃんとあるぜ」
その言葉にハルトは少し驚いたようにフユヒコを見つめ、ふと考え込んだ。
しばらくの沈黙のあと、ハルトはゆっくりとうなずいた。
「そうか...ふくらませた時間は消えない...か」
フユヒコは笑みを浮かべて
「お、急にアタマが良くなったじゃないか」
と言った。
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