『偏差値って何? どのくらいが高い?』

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2022.09.03
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自分の実力を判定するために模擬試験などを受けると、「偏差値」という言葉を目にすることがあると思う。
また、高校入試に向けて受験校を検討する時にも、「偏差値」を参考にするという話を聞いたことがあるんじゃないかな。
では、「偏差値」って何だろう? 今回は、偏差値とは何か、偏差値の正しい見方や活用方法に加えて、偏差値を上げるためのおすすめの勉強法を紹介していくよ。

偏差値って何?

偏差値とは、受けた試験で自分の得点が全体の中のどのくらいの位置にあるかを示すもの。
試験の受験者全員の平均点を「偏差値50」として、全体の中での自分の位置を数値で把握するものなんだ。試験の結果をより正確に把握することができる。
自分の得点が平均点と同じなら偏差値は50となり、全体のちょうど真ん中の位置にいることになる。
自分の得点が平均点より低ければ偏差値は49、48......と下がっていくし、平均点より高ければ51、52......と上がっていく。

偏差値の具体的な例

偏差値についてもう少し詳しく知るために、いくつかの例をもとに考えてみよう。
たとえば、キミが模擬試験を受けた結果、国語が85点、数学70点だったとしよう。このとき、出来が良かったのはどちらの教科だと思う?
点数だけを見ると、確かに国語の方が高い。けれども、ここで「国語の平均点は90 点、数学の平均点は60点だった」と知ったらどうだろう?
国語は85点だったけれど平均点より低く、数学は70点でも平均点より10点も高い。そうなると、数学の方がよくできたと考えるよね。
このように、試験の結果を判断するときは、自分が何点取れたのかよりも、自分の得点が平均点と比べてどうだったのかをチェックする必要があるんだ。
では、平均点との差だけを見て判断すればよいのかというとそうではない。次の例を見てほしい。
同じクラスの生徒5人が同じテストを受けて、次のような結果だったとしよう。
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(※わかりやすくするため、ここではクラス全体の人数を5人としています。)
上記から、英語と数学のどちらのテストも、クラスの合計点と平均点は同じだったことがわかる。
このとき、数学で70点を取ったキミと、英語で70点を取ったDさんは同じ出来なんだろうか。たしかに、2人とも平均点と比べて10点高い点数を取っている。
でも、5人の生徒の英語と数学の点数のばらつき具合を見るとどうだろう?
英語は点数が50点から70点の間に集中していて、得点のばらつきが小さいのに対し、数学は点数が40点から80点と幅が広く、ばらつきが大きいと言えるよね。
キミの数学の成績とDさんの英語の成績を比べると次のようになる。

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キミもDさんもどちらも平均点プラス10点を取った。
でも、偏差値を見ると、点数のばらつきが大きい数学で70点を取るよりも、点数のばらつきが小さい英語で70点を取る方が出来がよいとわかるよね。
このように、偏差値を見ると、得点や順位だけからはわからない「受験者全体の中での自分の立ち位置」を客観的に知ることができるんだ。

偏差値を使うメリットとは?

偏差値がどのようなものかがわかったところで、偏差値をどう見ればいいのかを見ていこう。
試験の点数や順位は、問題の難易度や受験者の学力がどうかによって変わる。問題が易しくなればキミの点数は上がるだろうし、受験者のレベルが全体的に高ければキミの順位は下がるはずだよね。
だから、試験の得点や順位は学力を客観的に測る物差しとは言えないんだ。でも、偏差値を使えば、問題の難易度や受験者の学力に左右されず、客観的な自分の位置が把握できる。
そのため、次のようなことに使うことができるよ。

偏差値の具体的な利用法

・教科どうしの成績を比較して、得意教科や苦手教科を把握する。
・自分の学力が前回と比べて上がっているのか、下がっているのかの参考にする。
・志望校や受験する高校を決める参考にする。
・志望校に合格するために、あとどのくらい力を伸ばせばよいかを把握する。
偏差値を使えば、平均点が異なる試験どうしの成績を比較することができる。教科によって平均点が異なっていても、偏差値を比べることで得意教科や苦手教科を把握できるんだ。
また、同じ模擬試験を継続して受けることで自分の学力がどのように変化しているかがわかるよ。
そして、受けた模試が高校別の偏差値を出していれば、志望校合格のために必要な偏差値と自分の偏差値とを比べて、あとどのくらい力を伸ばせばよいかを知ることもできる。
偏差値をうまく活用すれば、受験に向けて具体的な学習計画を立てられるようになるんだ。
試験の結果が返ってきたら、点数や順位だけを確認するのではなく、偏差値がどうだったかもチェックするようにしよう。

偏差値を見る際の注意点とは?

偏差値は、模試などで自分が受験者全体のどのくらいの位置にいるかを客観的に把握できる便利な数値だ。
でも、使うときにはいくつか注意点もある。それは、受験者の異なる試験の偏差値を比較しても意味がないということ。
最初に説明したように、偏差値は「受験者全体の平均点」と「受験者の点数が平均点からどのくらい散らばっているか(得点分布という)」で決まる。
当然のことだけれど、「平均点」や「点数の散らばり具合」は、受験者全体の学力レベルや人数などが違えば変わってくるんだ。

キミが「①自分が住んでいる都道府県の同学年の生徒だけを対象にした模試」と、「②全国の中学生を対象にした模試」をそれぞれ受けたとしよう。
①と②では、受験者数も違うだろうし、受験者全体の学力レベルも違うだろう。
そうであれば、2つの模試の平均点や点数の散らばり具合は当然変わってくる。キミの学力は変わっていないのに、2つの模試で偏差値が違うという結果になってしまうんだ。

高校受験に向けて模試を受ける機会が増えてくると思うけれど、いくつか模試を受けて、偏差値が大きく違ったのなら、模試受験者の学力の違いが影響していると考えられるよ。
いつもより低い偏差値が出たのなら、受けた模試の受験者の学力が比較的高い方に片寄っていた可能性がある。
逆に、いつもより高い偏差値が出たのなら、受験者の学力が低い人から高い人まで幅広い層だった可能性がある。
受験者がどのような層なのかに注意して偏差値を判断することがポイントだよ。

そして、偏差値を比較するときは、受験者全体(母集団という)が似たような試験どうしで比較をすることが重要だよ。
とくに、自分と同じ志望校を目指している人や、自分の志望校と同じレベルの高校を目指している人が多く受けている模試を継続的に受けて、自分の立ち位置を把握するとともに、合格に向けて足りない力を伸ばしていくことが大切。受ける模試によって偏差値が変わってくるということを頭に入れておこう。

偏差値の求め方

偏差値のことが理解できると、「じゃあ、偏差値ってどうやって出せばいいの?」と疑問を抱く人もいると思う。
ここでは、偏差値の計算方法を紹介しよう。ただ、少し難しい話になるから、あくまで参考程度に読んでほしい。詳しくは高校で習うことだから、もちろん覚えなくて大丈夫だよ。

前にも書いたけれど、偏差値は受験者の試験の結果を正確に把握するために、平均点(平均値)を「偏差値50」として受験者の得点を計算し直したものだ。
得点と平均点との差を点数の散らばり具合で割って、比較しやすい数値に変換する。計算式は下記のようになる。

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異なる試験を受けて、どちらも平均点以上の同じ点数だったとしても、受験者集団の得点のばらつきが小さい、つまり、平均点付近に集まっていれば標準偏差の数字は小さくなって偏差値は高めに出るし、受験者集団の得点が平均点から離れ、広範囲に散らばっていれば標準偏差の数字は大きくなって偏差値は低めに出るよ。

偏差値ってどのくらいから高いの?

偏差値は、試験を受けた受験者全体の中で自分がどのくらいの位置にいるのかが客観的にわかる数値だ。
だから、自分が受験者全員のうち上位何%に入っているのかも把握できる。偏差値ごとに見てみよう。

・偏差値75...上位0.62%に入る。
・偏差値70...上位2.28% に入る。
・偏差値65...上位6.68% に入る。
・偏差値60...上位15.87% に入る。
・偏差値55...上位30.85% に入る。
・偏差値50...上位50% に入る。
・偏差値45...上位69.15% に入る。

では、偏差値はいくつ以上なら高いと言えるんだろう? 実を言うと、これは個人の感覚によるものなので一概には言えないんだ。
どこからが高い偏差値なのかの基準は、一人ひとりがどのレベルを目標にするかによって変わってくる。
受験者全体の上位15%に入っていれば高いと感じる人もいれば、上位5%に入らないと高いとは言えないと感じる人もいるからだ。

繰り返しになるけれど、偏差値は、同じ試験を受けた人たちがどのような学力レベルかによって変わってくる。
成績上位の生徒が大半を占める模試では偏差値は低めに出るだろうし、そうではない模試ならば偏差値は高めに出るはずだからだ。
自分が受けた模試はどのような成績層が受験しているのかを把握したうえで、その中で自分が何位以内に入りたいのかをしっかりと判断することが重要だよ。

模試の偏差値の見方にも少し触れておこう。模試が出している志望校の偏差値が70だったとする。
これは、その模試を過去に受けて偏差値70以上だった生徒は8割以上がその高校に合格しているということを示しているんだ。
だから、キミの偏差値が70を超えていれば必ず合格するというものでもないし、偏差値70以下だからといって、合格可能性がまったくないわけでもないから、あきらめる必要もない。
志望校の偏差値は、あくまで一つの目安だと考えて見るようにしよう。

偏差値を上げるためには?

まず、平均点より少し上、偏差値55くらいを目指すなら、基本的な問題で確実に得点できるようになろう。
そのためには、暗記事項は完ぺきに覚えきること、基本問題ではミスせず確実に正解することがポイント。
間違えた問題には繰り返し取り組んで、確実に解けるようになっておくことが大切だ。

さらに上の偏差値60前後まで上げることを目標にするなら、暗記事項を完ぺきにし、基本問題で確実に得点することはもちろん、標準問題でも得点する力が必要になる。
応用問題や難問に手を出す必要はないけれど、基礎的な知識を組み合わせて解く必要があるような問題演習に取り組んで、得点できるようになろう。
模試など実力を測るテストでは、出題範囲も広く複数の単元の知識を使って解かなければならない問題も出題される。
苦手な分野や理解があやふやな単元があるなら早いうちに克服して、標準問題で点を落とさないような対策を行おう。

さいごに

どうだったかな?
偏差値の求め方は少し難しい内容だったけれど、偏差値がどのようなものか、偏差値を見るときどんな点に注意したらよいかなどが理解できたんじゃないかな。
偏差値を利用すれば、今の自分の成績はどのくらいなのか、自分の得意教科や苦手教科は何か、志望校の合格ラインまで、あとどのくらい力を伸ばせばよいのか、などが客観的に把握できる。
偏差値からわかることをうまく役立てて、効率的に勉強を進めよう。

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