『部活 部長の悩み メンバーのギクシャク』
新しい部長や副部長が決定して1ヶ月。きみの部活はうまくいっているかな?
体制が変わっていろいろギクシャクするのは当たり前。
でもよく考えてみると、この新しい体制で活動できるのだって、1年ちょっとしかないんだから、できれば始めからスムースに進めたいものだね。
それには、部長など上層部の適切なリードと、メンバーの「フォロワーシップ」が大切だよね。
部長はねえ、悩んでいるよ、きっと。
どんな活動にしたらみんなが活躍できるのかとか、細かい練習メニューとか、なんだか腹にイチモツもっているメンバーとの関係とか、ね。
メンバーだって、せっかく時間を使って部活をしているのに、うまく進めてくれない部長陣にジレンマを感じたり、顧問の先生にメンバー側の意見がぜんぜん通っていないとかさ、ジリジリしていると思う。
目次
部長は偉いのか
まずはじめに部長のきみも、メンバーのきみもわかっておいて欲しいことがある。
それは「部長はメンバーより偉いわけじゃない」ってことなんだ。
何人もの候補者のなかから選ばれた部長が偉くないってどういうことだ? と思うかもしれないけれど、部長は単なる役割に過ぎない。
今の部長が選ばれたのは、「部長の役割」をいちばんうまくこなせそうだったからで、メンバーより優れているからというわけじゃない。
ええー? まじで????
まじで。
なんとなくさ、こう思ってない?
「部長はメンバーより偉いんだから、もっとうまくやってくれないと」って。
部長のきみも「部長はメンバーより偉いんだから、もっとうまくやらないと」って。
こう考えちゃうとものごとはうまく進まない。
だってチームはお互いに助け合わないとまとまるわけないからね。
「部長は単なる役割」おたがいにこう認識していれば、変に構えたりせず、フラットに意見を言い合えるはずだよね。
部長の役割
では部長の役割ってなにがあるのだろう? 部長の役割は、部長だけが知っているのではなくて、メンバー全員が知っている必要がある。それを理解していれば、部長の言動の意味がわかるようになるからだ。
●顧問との連絡
顧問の先生と連けいをとって、先生からの指示や連絡、先生の部活に対する考え方を部員にうまく伝える役割。
●目標を決める
何よりも大切なのは「目標を決める」こと。目標が決まらないとどんな練習をしたらいいのか、どこまでがんばればいいのか部員に伝わらないよね。
部員が納得するように部長が目標を決めることが初めの仕事になる。
●練習内容を考える
練習の内容はいままでのものを何も考えず引き継いで実行するのではなく、立てた目標に対して、今の部に必要なところを強化する、不必要な部分は削除するなど、アレンジしていく。
●部員の相談にのる
部の活動方針にみんなが満足しているということはあまりないよね。
だれかしら、なにかしら不満を抱えているもの。小さな不満が大きくなって破裂すると部活動に支障をきたす。ふだんから部員の表情をみて、元気なさそうな場合は声をかけて相談に乗ってあげること。
●準備や片付け
部活の用具やグラウンドの準備などは下級生の仕事と思いがちだけれど、部長がだれよりも早くきて準備しているところを下級生が見れば、おのずと動いてくれるようになる。
どうかな? なかなか大変だろ?
うまく「部長」をこなすには
部長のきみにはどうやって「部長の役割」をこなすか、を話そう。基本は肩肘張らずリラックスしてみんなに接することだよ。
・みんながおなじようにがんばるのは無理
まずみんなが同じようにがんばることは無理だと考えたほうがいい。
メンバーはひとりひとりモチベーションも違うし、能力もトクイもニガテも違う。
それを認めずに、「部をまとめる」ためだけにみんなに同じことを要求してもしょうがない。
ひとりひとりの良さをよく見て、だれかができないことは、できる人が助けてあげるふん囲気を作ることで部はまとまっていく。
・「べき」は封印する
「〜すべき」という言葉や行動は、なにかしらを相手に押し付けることだよね。
人って押し付けられたらなかなか自分のこととして受け取れないものだよ。みんなで合意した目標に対してそれぞれが「なにをするか」を選んだら、それを尊重して、サポートする形でコミュニケーションをしていこう。
・メンバーに嫌われるかも と心配
そもそもすべてのメンバーがきみのことを大好き!っていう状態は難しいよね。
きみと意見が合わない人がいるほうがふつう。
みんなが自分のことを好きであるわけないとわかっていれば「嫌われるかも」という心配はずいぶん減るんじゃない?
さらに「嫌われている」のではなく「考え方が違う」と捉えてみよう。
「嫌われている」ではとりつくしまもないけれど「考え方が違う」ならば「どこから考え方が違うのか」と分析し、解決策を考えることもできるよね。
・チーム内で対立が起こったら
おたがいにそうは思えなくても、対立ってそれぞれに正当な理由があるじゃない? だからどっちが正しいかを決めてもしかたないと思うんだ。
無理に説得するのではなく、なんでそう思うのかを聞いてみよう。対立を解消する選択肢が必ず隠れているはずだ。
・メンバーにも相談する
「部長なんだから自分ががんばらなくちゃ」と考えるのはやめておこう。
先生や先輩に相談したり、メンバーに相談できるのがいいリーダーの資質だよ。
「メンバーに相談なんかしたら、頼りない部長って思われる」なんて考えちゃうかもしれないけど、実際には逆。悩んでいることをおもてに出してくれたほうが、メンバーは部長に親近感を抱くはず。
なによりメンバーの目から見た、きみが思いつけなかったアイディアを出してくれるかもしれないじゃない。
メンバーの役割
部長に役割があるように、メンバーにも役割がある。
それはフォロワーシップと呼ばれるものだ。
フォロワーシップとは目的達成に向けて部長を補佐する機能・能力のことをいうんだ。
また、ときに部長が迷ったり、間違えたりした場合は、部長に正しい道を示すことも含まれるよ。
フォロワーシップの提唱者である米国カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授の調査によると、組織が出す結果に対して「リーダー」が及ぼす影響力は1~2割。対する「フォロワー」が及ぼす影響力は8~9割だったという。
すごくない?
フォロワー、すごくないですか?
そんなフォロワーシップ、具体的にはどんな行動があるのだろうか?
・部長の考えを現場に
部長の役割の1つが「目標を決める」ことであるのに対し、フォロワーの役割は「目標を達成できる具体的な行動計画を立て実行する」こと。
メンバーがやるべきことをすべて部長に決めてもらうのではなく、「部長が言っている目標に対して、こんな練習を組んだほうがいいんじゃないかな」と考えていくことだよ。自分で練習のスタイルを決められるのは納得感が高いよね。
・積極的に仕事を引き受ける
部活の運営にはいろいろやらなければいけないことが多い。
自分に割り振られた仕事や、それに関連した仕事を積極的に引き受けていると、周囲のフォロワーも影響を受け、相乗効果によって部活全体が生き生きしてくるよ。
なにか頼まれたら返事は「はい」か「YES」のどっちかだ。どっちも同じだ!
・自分の意見をしっかり伝える
自分によいアイディアがあるなら、積極的に発言しよう。自由な意見交換はさらなるアイディアを思いつく素地になるよ。
・全体への貢献を考える
人間はついつい自分の利益ばかり考えてしまうもの。
その気持ちはいったん抑えて、部活全体への貢献を考えて行動してみよう。より多くの人の利益になるように行動すると、今まで以上に視野が広がり、部活も活性化する。
・完璧を求めない
完璧を求めると逆に萎縮(いしゅく)して消極的になったり、ほかのメンバーと衝突する可能性が高い。ほかのメンバーに過度な完璧さを要求しないことも大切なフォロワーシップなんだ。
相手に完璧を求めるよりも、その人の良いところを尊重し、うまくできないところは先回りしてフォローするなどの行動をとりたいね。
部長とメンバーの気持ちががっちりかみ合うことが大切だ
どうだったかな? いいふんいきで活動できて、試合に勝ったり、コンクールで活躍できたりすることは中学の部活の醍醐味(だいごみ)だ。そのためには部長もメンバーも一緒になっておたがいを盛り立てることが大切だよね! がんばろう!! 部長はメンバーに適切なアドバイスをすることで部を盛り立てるよね。いくつもの店舗にアドバイスしていくスーパーバイザーはそれに似ているかな。