法務教官の仕事内容は?
法務教官とはどんな仕事内容?必要な資格は?
法務教官は少年院などで非行を犯した少年を教育します
・法務教官の仕事内容とは?
法務教官は、少年院や少年鑑別所などで働き、非行を犯した少年に対して教育を行う専門の国家公務員です。
幅広い視野と専門的な知識をもって、非行少年たちの個性や能力を伸ばし、健全な社会人として社会復帰させるために、細やかな指導や教育を行います。
・少年院で働く法務教官の仕事とは? 矯正(きょうせい)教育とは?
少年院は、家庭裁判所から保護処分とされた少年を収容して、更生するための専門的な教育を行う施設です。
少年院で働く法務教官は、少年たちに健全なものの見方や考え方を身につけさせる生活指導や、基礎学力をつける教科指導、職業生活に必要な知識・技能を習得させる職業指導などを行っています。
このように法務教官が少年院で少年たちに行う教育のことを、一般に「矯正教育」と呼ばれます。
また法務教官は、関係機関との連携しながら、少年が少年院を出た後の生活環境を整え、修学に向けた支援や就労支援なども行います。そして少年がスムーズに社会復帰できるために力を尽くします。
・刑務官と法務教官の違いは?
刑務官は、刑務所や拘置所に勤務して、入所している受刑者の監督・指導や社会復帰のための更正をサポートすることを、主な仕事としています。
法務教官は、少年院や少年鑑別所、婦人補導院、少年刑務所などに勤務して、青少年の矯正教育を主な仕事としています。
どちらも「更正」に関わる仕事を行う国家公務員ですが、二つの職業の違いをまとめると、刑務所などの刑事施設で受刑者(成人中心)の監督をするのが刑務官、少年院などの矯正施設で収容者(未成年者)の矯正教育をするのが法務教官となります。また、刑務官には階級がありますが、法務教官には階級がありません。
・少年鑑別所で働く法務教官の仕事とは?
少年鑑別所とは、主に家庭裁判の判断で送られてきた少年を収容して、非行の原因や背景を探り、処遇の方向性を決めるための調査を行う施設です。
少年が罪を犯すと、家庭裁判所で審判を受けますが、その審判の前に、一定期間「行動や資質を観察する必要がある」と判断された少年が、少年鑑別所に収容されます。
少年鑑別所で働く法務教官は、収容されてきた少年の面接や行動観察を行ない、少年の更生の可能性を探ったり、家庭裁判所の審判にで使われる「鑑別結果通知書」を作成したりしています。
また、少年本人の希望を聞いたうえで、中学や高校の学習内容の支援や一般教養、情操教育なども行っています。
少年鑑別所を出て少年審判を受けた結果、一般社会での更生が難しく再犯の可能性が高いとみなされた少年は、次に少年院に送られます。 そして先述の少年院で働く法務教官の教育や指導を受けます。
・法務教官の仕事のやりがいは?
法務教官がやりがいを感じるのは、最初は勉強や職業訓練に興味を示さなかった少年たちが、だんだん前向きに授業や訓練を受けるように変わっていく姿や、少年院を卒業して社会復帰を遂げる姿を見るときです。
法務教官はどんな働き方をするの?
法務教官は全国各地にある少年院、少年鑑別所で働く
法務教官の勤務先は、全国各地にある少年院、少年鑑別所のうちのいずれかになります。
勤務地は本人の希望を考慮して決定されます。法務教官は国家公務員なので数年ごとに異動がありますが、採用施設のある管轄区内での異動になります。
1週間あたりの勤務時間は38時間45分、週休2日制で、主に交代制勤務(日勤と夜勤を交代)で働いています。
休暇制度としては年次休暇(年間20日間)のほか、病気休暇、夏季休暇、結婚・出産に伴う休暇や介護休暇などの制度が整っています。
少年院や少年鑑別所に勤務する法務教官には、一般の国家公務員の給与水準より高めの給与が設定されています。
勤務地は本人の希望を考慮して決定されます。法務教官は国家公務員なので数年ごとに異動がありますが、採用施設のある管轄区内での異動になります。
1週間あたりの勤務時間は38時間45分、週休2日制で、主に交代制勤務(日勤と夜勤を交代)で働いています。
休暇制度としては年次休暇(年間20日間)のほか、病気休暇、夏季休暇、結婚・出産に伴う休暇や介護休暇などの制度が整っています。
少年院や少年鑑別所に勤務する法務教官には、一般の国家公務員の給与水準より高めの給与が設定されています。
法務教官はどんな人に向いているの?
法務教官には他人への高い共感力をもった人に向く
法務教官を目指す人は、少年たちを更生させる教育に社会的意義を感じている人が多くいます。
非行少年といっても、抱える心の問題、犯罪の種類、置かれた家庭環境などさまざまです。また全くコミュニケーションを取りたがらない少年もいます。
そうした少年たちの心に寄り添い、じっくりと時間をかけて信頼関係を築いていく法務教官には、根気強さや強いメンタル、体力、そして少年たちの多様な背景をも受け入れる、高い共感力をもった人が向いているといえます。
非行少年といっても、抱える心の問題、犯罪の種類、置かれた家庭環境などさまざまです。また全くコミュニケーションを取りたがらない少年もいます。
そうした少年たちの心に寄り添い、じっくりと時間をかけて信頼関係を築いていく法務教官には、根気強さや強いメンタル、体力、そして少年たちの多様な背景をも受け入れる、高い共感力をもった人が向いているといえます。
法務教官の将来展望は?
法務教官の将来展望 多様な経験と実力を持つ人材が期待される
日本では、年々、少年による犯罪の種類が多様化、凶悪化しており、「少年法」の改正などの議論が盛んになっています。少年犯罪を厳しく罰する方向性とともに、多様な犯罪の再犯を押さえることが社会的な課題となってきています。
そのため法務教官には、多様な経験と実力を持つ優秀な人材の活躍が、社会から期待されています。
そのため法務教官には、多様な経験と実力を持つ優秀な人材の活躍が、社会から期待されています。
法務教官にはこうすればなれる!
法務教官になるにはどんな試験をパスすればいいの?
・法務教官になるのに学歴は必要?
法務教官になるには、法務省専門職員(人間科学)採用試験の、「法務教官区分」を受験して、合格する必要があります。
採用試験に合格すると、成績順に採用名簿に記載されますが、すぐに採用されるわけではありません。採用の内定を受けるには、勤務したい希望管区へ葉書を送って面接を受け、合格する必要があります。また採用名簿に名前が載る有効期限は1年間です。
法務教官の採用試験は、年齢以外に受験者の制限がありません。そのため学歴を問わず受験することが可能でですが、試験自体は大学卒業程度のレベルとなっているので、相応の試験対策が必要です。
・法務教官に有利な大学の学部・学科はある?
大卒で法務教官を目指すなら、どこの学部出身者が有利、といった条件はありません。とはいえ法務教官は、犯罪を犯した少年と向き合い、教育をする仕事なので、大学では心理系の学部・学科に進み、少年心理や犯罪心理を学んでおくと実務で役立ちます。
また中学や高校の勉強を教えたり資格取得の指導をしたりと、教員の役割も果たすので、教育系の学部・学科に進むのも有利と言えるでしょう。
また少年院に送られてくる少年たちには外国語しか話せないことも多いです。
英語やスペイン語、ポルトガル語などの外国語の語学資格を取ると実務で役立つことがあります。