『終戦記念日(終戦日)っていつ? 8月15日のなぜ?』
終戦記念日とは?
終戦記念日(「終戦記念日」と表現することに抵抗を感じる人も多いので、「終戦の日」と表現することもあるよ)とは第二次世界大戦が終わった日。多くの日本人はそう考えているかもしれないね。たしかに1945年(昭和20)8月10日、日本は米英中3国によるポツダム宣言受諾を申し入れ、15日無条件降伏し、第二次世界大戦が終結した。
その後、8月15日を戦争の誤りと惨禍を反省、平和を誓うとして、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」とすることが閣議決定されたんだ。 もちろん、歴史を勉強してきた中学生のきみならばよくわかっている事柄だろう。
テレビや新聞などでも「終戦記念日」として、特集が組まれることがあるし、決して忘れてはいけない日としてみんなの心に刻まれているはずだ。
でも、世界の終戦記念日を調べてみると、驚いたことに国によって違うんだって知っていた?
その後、8月15日を戦争の誤りと惨禍を反省、平和を誓うとして、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」とすることが閣議決定されたんだ。 もちろん、歴史を勉強してきた中学生のきみならばよくわかっている事柄だろう。
テレビや新聞などでも「終戦記念日」として、特集が組まれることがあるし、決して忘れてはいけない日としてみんなの心に刻まれているはずだ。
でも、世界の終戦記念日を調べてみると、驚いたことに国によって違うんだって知っていた?
豊田祐基子さんは日本の代表的な通信社「共同通信社」で働く記者。2015年から2018年までワシントン特派員として、オバマ、トランプ両政権の外交・安全保障政策を取材したそうだよ。とくにオバマ元大統領が、現職のアメリカ大統領としてはじめて被爆地の広島を訪問するときに同行、取材をしたんだ。
※くわしくは「豊田祐基子さん インタビュー ジャーナリストでも有名な記者」
世界の終戦記念日は8月15日ではない
実は、世界的には別の日が第二次世界大戦の「終戦の日」として定められているんだ。
「なぜか?」を考える前に、まずは「第二次世界大戦」についておさらいしてみよう。
第二次世界大戦は、アメリカ・イギリス・フランス・ソ連・中国の連合国と、日本・ドイツ・イタリアの枢軸国の対立という形をとりながら、1939年の英独戦争から始まり、1945年5月にドイツ、8月の日本の降伏まで続いた戦争だ。(すごく簡単にまとめると、だけど。)
終戦をいつとするかの考え方は、その対立関係も大きく関係している。
「なぜか?」を考える前に、まずは「第二次世界大戦」についておさらいしてみよう。
第二次世界大戦は、アメリカ・イギリス・フランス・ソ連・中国の連合国と、日本・ドイツ・イタリアの枢軸国の対立という形をとりながら、1939年の英独戦争から始まり、1945年5月にドイツ、8月の日本の降伏まで続いた戦争だ。(すごく簡単にまとめると、だけど。)
終戦をいつとするかの考え方は、その対立関係も大きく関係している。
アメリカ、イギリスの終戦の日
まず、世界的には日本が降伏文書に調印した9月2日を第二次世界大戦の終結した日と考えられていることが多い。
例えば、アメリカでは、9月2日が「対日戦勝記念日」とされていて、英語では「Victory in [over] Japan Day」。この日が太平洋戦争・第二次世界大戦の終結した日とされることが多い。
アメリカと同じ連合国側でも、例えばイギリスでは5月8日が記念日とされている。これは、ドイツ軍が降伏文書に調印した日で、ヨーロッパにおける第二次大戦は、日本よりもドイツ軍との戦いのほうが、影響が大きかったということだ。
例えば、アメリカでは、9月2日が「対日戦勝記念日」とされていて、英語では「Victory in [over] Japan Day」。この日が太平洋戦争・第二次世界大戦の終結した日とされることが多い。
アメリカと同じ連合国側でも、例えばイギリスでは5月8日が記念日とされている。これは、ドイツ軍が降伏文書に調印した日で、ヨーロッパにおける第二次大戦は、日本よりもドイツ軍との戦いのほうが、影響が大きかったということだ。
イタリア、ドイツの終戦の日
日本と同じ枢軸国側だった、イタリアとドイツ。
こちらも、日本と同じ8月15日ではない。
イタリアは4月25日。
第二次大戦中に、三国同盟としてドイツ、日本の同盟国として戦ったイタリア。
イタリアでは、ナチス・ドイツとファシスト勢力に対抗していた人々が、ミラノから勢力を追い出し、支配から解放された4月25日を「開放記念日」としている。
ドイツでは、降伏文書に調印した5月8日を未来に向けての「開放の日」と考えている。
でも、イタリアの「開放」とは考え方が違うんだ。
2020年の5月8日の記念日に、ドイツの大統領が「開放」について語った言葉がホームページに公開されているから、その中から一部を紹介するよ。
ちょっと難しいかもしれないけれど、どういう意味の「開放」なのか、考えてみよう。
――「当時、私たちは他者により解放されました。今日、私たちは自らを解放しなければなりません。新たなナショナリズムの誘惑から、権威主義的な政治の魅力から、各国間の相互不信、分断、敵対から自分たちを解放するのです。憎悪や誹謗(ひぼう)・攻撃、外国人敵視や民主主義軽視からの解放を進めるのです。」(ドイツ連邦共和国大使館総領事館ホームページより)
こちらも、日本と同じ8月15日ではない。
イタリアは4月25日。
第二次大戦中に、三国同盟としてドイツ、日本の同盟国として戦ったイタリア。
イタリアでは、ナチス・ドイツとファシスト勢力に対抗していた人々が、ミラノから勢力を追い出し、支配から解放された4月25日を「開放記念日」としている。
ドイツでは、降伏文書に調印した5月8日を未来に向けての「開放の日」と考えている。
でも、イタリアの「開放」とは考え方が違うんだ。
2020年の5月8日の記念日に、ドイツの大統領が「開放」について語った言葉がホームページに公開されているから、その中から一部を紹介するよ。
ちょっと難しいかもしれないけれど、どういう意味の「開放」なのか、考えてみよう。
――「当時、私たちは他者により解放されました。今日、私たちは自らを解放しなければなりません。新たなナショナリズムの誘惑から、権威主義的な政治の魅力から、各国間の相互不信、分断、敵対から自分たちを解放するのです。憎悪や誹謗(ひぼう)・攻撃、外国人敵視や民主主義軽視からの解放を進めるのです。」(ドイツ連邦共和国大使館総領事館ホームページより)
ソビエト連邦(当時)中華人民共和国、台湾の終戦の日
ソビエト連邦、「ソ連」では、9月3日を対日戦勝記念日としていた。しかし、「ソ連」から「ロシア」に代わり、2010年に制定された法律では9月2日が記念日とされた。
ところが、2020年にふたたび9月3日に変更されたという。
このあたりの事情はちょっと複雑だから、興味のある人は調べてみよう。
中華人民共和国、台湾では9月3日が「抗日戦争勝利記念日」とされている。これは、日本が降伏文書に調印した1945年9月2日の次の日に、戦争に勝ったことを祝った日が由来ということだ。
ところが、2020年にふたたび9月3日に変更されたという。
このあたりの事情はちょっと複雑だから、興味のある人は調べてみよう。
中華人民共和国、台湾では9月3日が「抗日戦争勝利記念日」とされている。これは、日本が降伏文書に調印した1945年9月2日の次の日に、戦争に勝ったことを祝った日が由来ということだ。
呼び方もさまざま
記念日の名前も、国によってさまざまであることに気付いたかな?
第二次世界大戦で、日本とどういう関係の国だったのか、その記念日の名前からも感じ取ることができるんじゃないだろうか。
「終戦記念日」ひとつとっても、世界中にはさまざまな考え方がある。
歴史を学ぶ=たったひとつの事実を学ぶ、ということではない。
だれかが書いた「歴史」は、だれかの「考え方」や「立場」が反映されている、ということを忘れずに、そこから何を感じてどう考えるのか...それが、歴史を学ぶということかもしれないね。
※国や地域による「終戦の日」が決められた理由などは諸説あります。
※国名は略称です。
第二次世界大戦で、日本とどういう関係の国だったのか、その記念日の名前からも感じ取ることができるんじゃないだろうか。
「終戦記念日」ひとつとっても、世界中にはさまざまな考え方がある。
歴史を学ぶ=たったひとつの事実を学ぶ、ということではない。
だれかが書いた「歴史」は、だれかの「考え方」や「立場」が反映されている、ということを忘れずに、そこから何を感じてどう考えるのか...それが、歴史を学ぶということかもしれないね。
※国や地域による「終戦の日」が決められた理由などは諸説あります。
※国名は略称です。
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