『秋が始まり　恋は終わった』

カテゴリー :: お悩み解決

: 2024.09.01

「もうさ、秋のはずなのにまだまだ暑いね」
9月に入って最初の部活が終わり、ゆづきとりこは家に帰るところだった。
「だよね。秋が始まって...」
「...ん？　なに？」
言いよどむゆづきにりこが聞き返した。
「いや、秋が始まって、恋は終わっちゃったなって」
「え？　別れちゃったの？　みなと先輩と？　なんで？」
「なんでって...それがわかってたら苦労しないよ。はじめはうまく行ってたんだけどなー。だんだん連絡も減ってさ」
ゆづきは苦笑いを浮かべた。
「気づいたら、自然と終わっちゃった感じ」
「そっか...」
りこは軽くうなずいた。
「みんな、そんなもんなのかな」
「かもね。やっぱり、まだ早かったのかも」
ゆづきは遠くを見つめながら言った。
「でもさ、少しは楽しかったよね？」
りこが微笑んだ。
「うん、すごく楽しかった。でも、終わっちゃったのはやっぱり寂しいよ」
ゆづきも笑みを返した。
「あー、もう秋なのにまだ暑いなー、ほんと」
ゆづきが言った。