国会議員

国会議員の仕事内容は?

国会議員になるには?どんな仕事内容?学歴は必要?


国会議員は「法律」を作る職業

・そもそも国会とは?国会議員とは?


国会は、憲法で「国権の最高機関」と書かれています。「最高機関」と言われるゆえんは、国民から直接、選挙で選ばれた、全国民を代表するメンバーで構成された機関だからです。
また国会は、法律を決めることのできるたった一つの機関でもあります。
国会は衆議院と参議院の2つの議院で構成されており、国会議員は、衆議院議員と参議院議員に分かれています。そしてそれぞれの議院の多数決で政治の方向性が決められます。衆議院議員は465名で任期が4年。参議院議員は248名で任期は6年です。(2021年現在)

・国会議員は法律を決定する


国会議員の集まる「国会」では、私たちの日常生活の大切なルールである「法律」をつくります。法律を決定することは国会議員のみに許された仕事です。
具体的には、内閣や国会議員が提出した「法案」(こんな法律があった方が良いですよね?という提案)について、国会議員は国会で審議を重ねます。
そして両議院で可決された法律は、内閣総理大臣名で国会で審議されます。可決し、成立すると、天皇によって国民に知らされる(公布)ことになっています。

・国会議員は国の税金の使い道を決定する


国会議員は、国民の代表として、大切な税金の使い道(=国の予算)も決定しています。
国会の予算が決まる大まかな流れは、
まず各省庁が次年度にかかる経費を見積もり、財務省に予算案を提出します。

→財務省は各府省庁からの予算案を審査・調整して、国の予算案を内閣に提出します。

→内閣は、財務省が提出した予算案を閣議を開いて検討し、最終的な予算案を決定します。

→内閣は最終的な予算案を国会に提出します。

→内閣の提出した最終的な予算案を、国会議員が国会で審議します。

国会議員の衆議院と参議院それぞれで可決されると、国の予算案は成立します。

このような流れで、国会議員は国の予算案を最終的に審議・決定しています。

・国会議員は外国と結ぶ条約の承認を行う


内閣が外国の政府と結ぶ条約の承認をすることも国会議員の重要な仕事の1つです。
条約とは内閣が外国の政府と結ぶ約束事を文書に書き起こすことで、内閣総理大臣が外国と条約を正式に結ぶには、国会の承認を受ける必要があります。

・国会議員は内閣総理大臣の指名を行う


内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で指名されます。
指名は国会議員による単記記名投票(1名だけ名前を書く方法)で行われ、投票の過半数を得た人が指名された者となります。

1回の投票で過半数を得た者がいないときは、上位2人の決選投票を行い、多数を得た者が指名された者となります。また衆議院と参議院とが異なった指名の議決をした場合には、両議院の協議会を開かれ、そこでも意見が一致しなければ衆議院の議決が国会の議決となります。
国会議員はどんな働き方をするの?

国会議員は休日もなく1年中ハードに働く

・国会議員の活躍の場は?


国会議員には休日がなく1年中ハードに働いていると言われていますが、その活躍の場は、会議が行われている期間と、行われていない期間では違います。
国会会期中は、自分の所属する衆議院・参議院どちらかの本会議や常任委員会、特別委員会などの会議が活躍の場となります。
国会の閉会期間中は、地元選挙区で報告会をしたり、イベントに出席したり、業界団体と会合したり、勉強会に出席したりと、地元での親睦を深めながら勉強をします。
これらの活動も、次の選挙につながる大事な仕事です。

・国会議員の給与は?


国会議員の給与は「歳費(さいひ)」と呼ばれており、国会議員の給料は「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」で定められています。

衆参議員ともに毎月129万4000円の歳費が支給されます。また歳費とは別に6月と12月に「期末手当」と呼ばれるボーナスも支給されるため、国会議員の年収は2000万円前後となります。

他にも文通信交通滞在費、立法事務費、政党交付金などを満額受け取るとかなり高額な年収となりますが、私設秘書の給与や事務所の運営費など、個人で負担する費用も大きいため、年収のすべてを自由に使えるわけではありません。

・国会議員は任期を終えるとどうなるの?


国会議員は、衆議院議員は4年間、参議院議員は6年間の任期を終えれば、あるいは衆議院議員は任期中でも解散されれば、また選挙戦を勝ち抜かなければなりません。もし選挙に落ちてしまうとそこで無職になってしまうので、社会的にも経済的にも大きな打撃を受けます。国会議員の仕事はそのような高いリスクのある仕事でもあります。
国会議員はどんな人に向いているの?

国会議員は責任感を持って仕事に取り組む使命感のある人に向く

国会議員の仕事は、国を動かして私たちの生活をよりよくしていくことです。
国民の生活を豊かにして、社会を良くしていきたい、という熱意のある人が向いています。
また選挙に勝ち抜かねば無職になるという高いリスクも負いながら、国民の代表として責任感を持って仕事に取り組む使命感のある人が国会議員に向いているといえます。
国会議員の将来展望は?

国会議員の将来展望 国会議員の定数で変わる

現在は公職選挙法で、衆議院議員と参議院議員の人数が決まっています。
しかし国会議員一人当たりにかかる年間経費は高額なので、日本の財政状態を考えると国会議員の定数を変えるか、一人当たりの年間経費を削減すべきだという声が上がっています。
もし議員の定数が少なく改められたら、選挙の当選倍率は今より高くなることが予想されます。
国会議員にはこうすればなれる!

国会議員になるには? 学歴や資格は必要なの?

・国会議員の選挙で勝ち続けるには実績と人脈がいる


国会議員になるには特別な資格は必要ありません。
日本国民であり、かつ25歳以上なら衆議院選挙に立候補でき、30歳以上なら参議委員選挙に立候補できます。
そして、選挙で当選すればなることができます。
しかし選挙で勝つためには、相当の実績や資金、人脈、知名度などが必要になります。
まずは議員秘書や地方議員、官僚などを目指し、そうした政治の世界で実績を積んでから国会議員の選挙に出馬する人が多いようです。

・民間から選挙に出るには政治塾で勉強するルートもある


一方、政治の世界で実績がなくても、まったくの民間から選挙に出て活躍する国会議員もいます。それらの人たちは、松下政経塾のように特定の政党と関わりのない政治塾や、各政党が直接実施している政治塾に通って政治について学んでから出馬するのが一般的です。
著名な政治家のプロフィール欄に「◯◯政経塾出身」などと書いてあることがあります。

・国会議員は名門大学出身者ばかり?学歴は必須?


国会議員は一流大学の学歴が必須というわけではありません。高卒の国会議員もいます。
ただし法律や政治、経済の専門的な知識が実際の仕事では必要なので、大学では法学や政治学、経済学、あるいは国際政治学、国際経済学などを学び、語学力もつけておくと実践で役立つでしょう。