裁判官は、裁判所に持ちこまれた争いごとについて、もめる両者の主張を聞いて法律にそった正しい判決を下し、解決に導く仕事です。
裁判は、おもに犯罪をさばく刑事裁判と個人的な争いをさばく民事裁判があります。
裁判の当事者にとっては、判決は人生を左右する一大事です。そのため裁判官は、法に照らして正しく判断しなければなりません。
一度下した判決は、その後のほかの裁判の審判にもえいきょうする可能性があります。
このように裁判官は、社会の秩序を守る重大な責務を担っています。
国家公務員の一つで、裁判所に勤務(きんむ)します。
はじめは判事補という新人の裁判官として地方裁判所などに配属され、経験を積んだのちに判事(※1)に任命されます。
法廷に立つ以外にも、過去の裁判を調べたり、判決文を書いたり、ほかの裁判官や裁判員(※2)と話し合ったりします。
公正な判断のためには大量の資料を読みこむなどの激務もあり責任も大きいですが、重要な職務だけに身分は保障され、国家公務員の中でも高い給料が定められています。
※1 裁判官が法廷に立つときの呼び名。
※2 刑事裁判で、裁判官とともに審議に加わることを任命された一般の人のこと。国民の感覚を裁判に取り入れ、判断をより正しくするための仕組みで、2009年に導入された。
何より人をさばく責任に負けない心の強さが大切です。
さまざまな事実をよく理解したうえで一つの答えを出す仕事であるため、世の中のさまざまなことを学び、人の意見をしっかり聞き、さらに自分の意見を論理的にまとめられる力があるとよいでしょう。
弁護士や検察官と同じく、司法試験に合格することが前提です。
裁判官になるには、まず司法試験に合格する必要があります。
司法試験を受けるには、法科大学院を修了するか、法科大学院に行かずに予備試験に合格して受験資格を得る必要があります。
一般的には法科大学院に進学します。
司法試験に合格後、司法研修所で学び、さらに司法修習の修了試験に合格、裁判所が行う面接を受けると裁判官(はじめは判事補(ほ))になれます。
ただし裁判官は適性が重視されるため、希望者の一部が選任されます。
*普通科の高校から法学系学部に進学できます。