医療機器メーカー

医療機器メーカーの仕事内容は?

医療機器メーカー社員の仕事内容は?学歴は必要?


医療機器メーカーの仕事は医療機器を製造して販売すること

医療機器メーカーとは?


医療機器メーカーは、病院で使用する医療機器を製造して販売するのが仕事です。

医療機器というのは人間か動物に用いられるもので、
①診断・治療・予防に使用されるもの
②身体の構造・機能に影響を及ぼすもの
に分けられます。
①の診断・治療・予防するものは、MRI(体の断層画像を撮影する装置)、レーザー治療機器、電子体温計、注射器など。
②身体の構造もしくは機能に影響を及ぼすものは、ペースメーカー(人工的に心臓を動かすための機械)、低周波治療器などです。
トレーニングマシン、フィットネス用具などの健康器具は医療機器ではありません。

国内にある医療機器メーカーには、世界的に有名な外資系企業も多くあります。医療機器メーカーが販売する先は、主に病院やクリニックや、ドラッグストアなどの小売店、医療機器販売業者です。

医療機器メーカーでは自社では開発していない分野の医療機器を輸入して国内で販売している会社もあります。

医療機器メーカー社員の仕事


医療機器メーカー社員の仕事は大きく次の3つの部門に分けられます。それぞれの仕事内容を紹介します。

1 医療機器の開発と製造を行う技術職

医療機器メーカーの多くは、新製品の開発を積極的に行なっています。
医療機器目メーカーは、各社、得意な技術を持っています。たとえばペースメーカーの技術に強みのある会社、心電図などに強みのある会社、内視鏡(ないしきょう)関連に強い会社、検体検査用機器に強い会社などがあります。技術職の人たちは、自社の強みを生かした新しい医療機器の開発を行います。
製品の開発には厚生労働省の許可をもらい実証実験を行う必要があるので、製品化するまで数年以上かかってしまうこともあります。

2 医療機器を販売する営業職

営業職の仕事は取引先への訪問ヒアリングから始まります。新商品を提案する前に、取引先の医療機関では今どのような問題を抱えているのかを知らなくてはいけません。医師や検査技師、看護師などと話をしながら、現状の困りごとやニーズを聞き出します。もし自社の新しい製品を導入してもらえる可能性があれば、自社製品の提案をします。その製品を導入することでどのように課題を解決できるのかを説明して納得してもらうことが必要です。交渉が成立して導入が決定したら、どのタイミングで導入すれば無理なく安全に治療を行えるか、よく相談をして導入をサポートします。

3 人事・経理・総務などの事務職

医療機器メーカーにも一般の会社と同じように、人事・総務・経理部門が会社全体の運営を支えています。
技術職の人たちが研究開発に専念できるように、営業職の人が販売に専念できるように、人事に関する業務を行なったり、社内環境を整えたり、経理の処理をしたりしています。
医療機器メーカーはどんな働き方をするの?

医療機器メーカーで医療機器の研究開発を行う技術職はほとんどが正社員

医療機器メーカーでは、医療機器の研究開発を行う技術職の人のほとんどが正社員で、営業職や事務系職種の人は派遣社員として採用される場合が多いです。

技術職や事務系職種は、1日7〜8時間勤務で土日祝日が休み、勤務時間も日中なので規則正しく働けます。
一方営業職は、病院の営業時間以降に病院を訪問したり、自社製品の導入後の様子を見にいくことがあったりと、勤務時間や休日は不規則となりがちです。
外資系メーカーの場合は、製造や開発は海外で行われていることが多く、日常的に海外とのやりとりが多くなり社風も実力主義です。
営業職は特に給与に実力主義が反映しやすく営業成績の良い社員はかなりの高収入を得られています。
医療機器メーカーはどんな人に向いているの?

医療機器メーカーは医療や医療機器に興味がある人に向く

◯ 医療分野への強い関心/人の役に立ちたいという思い
医療機器メーカーを志望する人は、前提としてどの職種でも医療や医療機器に興味がある人です。技術開発職の人は「医療の進歩に自分のエンジニアとしての技術を役立てたい」と思う人が志望しています。医療機器は一般的な電気製品と違って、医学的な専門知識が必要なので、医療に興味のある技術者であることが必要です。
営業職の人も、製品と顧客についての理解だけでなく医療分野の知識や「この製品を広めて医学の進歩に貢献したい」という思いが必要です。
特に近年は「国内外の過疎地域の人たちの遠隔診療を可能にする医療機器の開発をしたい」という志望動機でこの業界を目指す技術者が多くなっています。

◯ 粘り強さ
営業職では粘り強さが必要です。医師から何度か断られても諦めずに製品の良さを説明し、交渉していく必要があるからです。
医療機器というのは、いくら画期的な医療機器を開発しても、なかなか導入してもらいづらい製品です。医療関係者にとって、心待ちにしていた技術ならともかく、今使い慣れている安全な医療機器の使用をやめて新しい機器にとり変えるにはそれなりの動機や納得感が必要です。

技術職にも粘り強さは必要です。1つの新しい機器を開発して製品化するには、長期間に渡理、何度も実験と失敗をくり返さなくてはなりません。
医療の貢献のために必ず開発するという信念を持って粘り強く研究を続けられる人に向いています。
医療機器メーカーの将来展望は?

医療機器メーカーの将来展望 医療業界は景気に影響されない分野

世の中の人の病気やケガは絶えないため、医療業界は景気に影響されない分野だと言われています。
また近年の医療機器メーカーの技術の進化はめざましく、日本のメーカーは2021年現在アメリカに次いで世界で2位のシェアがあります。
今後も医療技術の向上を推進して、さらなる飛躍が期待できます。
医療機器メーカーにはこうすればなれる!

医療機器メーカー社員になるには希望する職種によって進路が変わる

医療機器メーカー社員になるには、希望する職種によって進路が変わります。
医療機器を研究開発する技術職では、大学は電気・電子・情報・機械工学を専攻し、大学院では博士号まで取得して専門を極めている人が有利になるでしょう。
営業職では工学部出身であることが必須ではありませんが、大学の工学系学科を専攻している方が歓迎される傾向です。営業職といっても医療現場の人たちが顧客なので、自社製品について専門的な質問にも答えられなくてはなりません。営業職の「テクニカルサポート」部門などでは、高度な「臨床工学技士」の資格を持った人を採用する会社もあります。(※「臨床工学技士」の仕事や資格については「臨床工学技士」の記事を参考にしてください)

それ以外の事務系職種では、大学の医学部や保健学部、看護学部など、医療系を卒業していた人が有利になります。いずれの職種を希望するにも高校の文理選択では理系科目を選択しておきましょう。