医師になるには大変 だが人の人生に関わるやりがいがある職業
医師の仕事は治療や研究で人の命を守ること
病気やけがを治すための治療や研究をします。
人の命を守るために、病気やけがを治療したり、治療のための研究をしたりしているのが医師です。
もっとも身近な医師は臨床医といって、訪(おとず)れた患者の診察や治療、リハビリテーションなどを行います。
病院や診療所に勤務している場合と、自分で医院などを経営している場合があります。病気の原因や治療法などを研究する基礎医学研究者という医師もいます。
こちらは大学病院などに勤めていることが多いです。
医師のやりがいは
医師にとってのやりがいは、健康を害した患者さんを手助けし、根治したり回復していくことを支援(しえん)できることです。
さらに健康を取り戻(もど)すことで、患者さんの人生や心の持ち方も変わってきます。このように多くの人の人生に関われることも医師のやりがいではないでしょうか。
医師の就職先には様々な病院がある
・病院で働く
医療機関には大きく分けて「病院」と「診療所(クリニック)」があり、入院できるベッド数で決められています。
ベッド数が20床以上ある医療機関が「病院」、19床以下が「診療所(クリニック)」となります。
入院患者がいる場合といない場合では入院患者のために夜中も常駐(じょうちゅう)する医師が必要になるなど、働き方に違(ちが)いが出てきます。
また、ベッド数が多い大きな病院では専門科が細かく分かれます。
例えば「内科」「外科」「産婦人科」「泌尿器(ひにょうき)科」「小児科」「眼科」「耳鼻科」「皮膚科」「整形外科」「精神科」などがあります。
一方小さな病院では一人の医師がさまざまな病気やケガに対応する必要があります。
・研究機関や企業(きぎょう)で働く
医療の研究をする研究医の就職先はおもに大学などの研究機関で、病気の原因や治療法などの研究をすることで医学の発展に貢献(こうけん)します。
特定の会社で社員の健康を守るために働く医師は「産業医」です。
産業医は企業の一員として従業員の健康管理を行う「専属」と企業と契約(けいやく)し職場巡視(じゅんし)や面接などを行う「嘱託(しょくたく)」に分かれます。
現在では産業医の多くは「嘱託」であり、勤務医や開業医が従来の業務のかたわら職務をになうことも少なくありません。
・その他の働き方
医療機関や研究機関以外にも医師免許を生かして働いている場合もあります。
医療分野に強いジャーナリストや大学や専門学校の教授になる医師もいます。
幅広い分野で医師の活躍の場があると考えて良いでしょう。
・医師の1日のスケジュール
日本の医師不足の現状もあって、医師の1日は大変忙(いそが)しいものです。
病院は大抵(たいてい)午前と午後に診療時間を分けており、この間の休診の時間にランチを取ったり休息をしたりしますが、午前中の診察が押してしまい、この時間が取れないことがよくあります。
入院患者がいる病院に勤めている場合は、診療科によっても違いますが、当番制で当直があり病院に泊まらねばなりません。
休日も毎週土日休める医師は多くなく、年末年始などの長期休みでも待機がかかっているために気が休まらないといいます。
一方で研究医の場合は、患者さんを持たないため一般的(いっぱんてき)な会社員と同じような働き方となります。
とはいえ学会発表などでの出張は多く、ときには海外出張になることもあるようです。
医師に向いている人は向上心や情熱、指導力が必要
何よりも、人の命や健康を預かる仕事であるという使命感を持っていることが大切です。
大きな病院では24時間体制で対応するために当直勤務や休日・夜間診療などもあり、医師自身が健康で体力のあることも大切です。激務の合間に時間をつくって、新しい医学の知識や技術も学ばなければなりません。
向上心や医療分野への情熱が求められます。現場の責任者として看護師や技師などをまとめる指導力、患者を安心させられる人間としての心の温かさも重要でしょう。
医師の将来性 AIに負ける日が来るのか?
高度な医療技術は、今後、AIに代替(だいたい)されていくと予想されています。
AIは学習速度が人に比べて格段に速いうえ、疲(つか)れることがないので、細心の注意を要する診断分野ではすでに人間を上回っているといわれます。
一方、現在の日本では医師不足といわれます。
ですが日本の人口は減少していくので、それにともない医師や、医療のニーズも減少します。
2040年には1.8万~4.1万人の医師が余ると厚生労働省は推計しています。
そのような状況(じょうきょう)で医師に求められるのは、「病気の一つひとつを診(み)る」のではなく、「患者さんを総合的に診て、例えば病気が治らない場合でもQOL(クオリティオブライフ=毎日が充実(じゅうじつ)し、心身が満たされた生活)をなるべく高い状態で長く維持(いじ)する」医療の提供です。
「病気の一つひとつを診る」ではAIにかなわなくなる日が来るかもしれませんが、QOLの維持は患者さんに医師が寄り添(そ)うことでしか実現できないものだからです。
医師になるには資格を取るまでに長期間勉学が必要
大学の医学部や医科大学に進学します。大学受験の最大の難関です。
医師になるには、大学の医学部や医科大学に進学し、6年間の勉強をして卒業後に医師国家試験を受けます。大学や医科大学の入学試験はとても難しく、在学中も難しい勉強や実習、研究などに取り組みます。
*高校は普通(ふつう)科で問題ないでしょう。
医師になるには何年かかる?
高収入ですが、責任が重く、困難の多い仕事です。
医師は国家資格の取得者です。医師免許を受けるためには医学部に進む必要があります。
医学部は6年制となります。免許を取ってから病院で実際の治療にあたる初期研修を2年間行ったあと、内科や外科、眼科、耳鼻科などの自分が専門にしたい分野に進み、経験を積みます。この研修が3-4年です。つまり大学生活と研修機関をあわせて11−12年が必要となります。
医師とは、資格を取るまでに長期間勉学にはげみ、その後長い研修期間が設定されているなどからもわかるとおり、人の命に関わる責任の重い仕事と認識(にんしき)しないといけません。