製薬開発技術者とは?どんな大学に行けばいい? 必要な資格は?
製薬開発技術者は新薬の開発に必要な研究や実験を行う研究のスペシャリスト
・製薬開発技術者は具体的にどんな研究や実験をしているの?
製薬開発技術者は、製薬会社や研究機関の研究室で、新薬の開発に必要な研究や実験を行う研究のスペシャリストです。
具体的には動物や植物、微生物などから薬の材料となる新成分を発見したり、それを組み合わせたりする基礎研究を担当する人や、新成分を人に投与したときの安全性や影響を確かめる治験などを行なう人がいます。新薬開発のための研究は、一人ではなくチームで行われ、各々、自分の専門分野に分かれてお互いに連携をとりながら進めるのが一般的です。
・製薬開発技術者のやりがいは?
製薬開発技術者は、最先端の薬の開発によって「人間を病気や怪我、感染から救う」という仕事に使命ややりがいを感じることが多いようです。
一般的に一つの新薬を開発するには10年以上の年月がかかると言われており、開発の成功率は非常に低いのが実際のところです。そのため何度も失敗を繰り返しながらも、諦めずに挑戦し、地道な実験データの採取と研究をコツコツ積み重ねていく必要があります。しかしその分、開発が成功し、新薬が世に出た時の達成感と喜びは、非常に大きいのです。
製薬開発技術者は研究所で正社員として働く
製薬開発技術者は、製薬会社や研究機関に就職して、正社員として働く人が多いです。
製薬会社の場合、日本企業や外資系企業がありますが、研究部門で採用された人は海外にある研究所で、現地の研究員と合同で研究する場合もあります。
大手製薬会社の新薬開発技術者の給与水準は、高めで安定しています。また外資系企業は実力主義で労働条件は厳しいですが、日本の企業よりもさらに給与水準が高めです。
製薬会社社員の場合、週休二日(土日祝)ですが、研究開発部門の人は、実験の内容によっては深夜まで実験室にいることもあり、休日でも研究所にいることがあります。
製薬開発技術者はこの仕事を通して、危険物取扱者、毒物劇物取扱責任者などスペシャリストの技術や資格を取得することもできます。
製薬開発技術者に向いているのは強い探究心のある人
何より薬の実験や研究を通して、人の命を守ることに使命感を覚える人が向いています。
また何度も失敗を繰り返しながらも、長いスパンで物事を考え、地道な実験や研究を続けられる強い探究心のある人が向いているといえます。
また、海外の論文を読みこんだり、海外の研究拠点とのやり取りも多いため、英語ができることが必要です。
製薬開発技術者の将来の展望は?超高齢社会でニーズは高まる
近年、世界中の製薬会社は「バイオ医薬品」に注目しており、バイオ医薬品の開発が盛んです。これは人間のタンパク質や遺伝子組み換えなどで作る医薬品で、化学物質から作る医薬品の開発よりも、さらに高度な専門知識が必要とされます。
日本は超高齢社会は今後も進み、副作用が少なく、がん治療にも効果の高い「バイオ医薬品」へのニーズは今後ますます高まると言われています。また新型コロナウイルスの治療薬やワクチンの開発ニーズが世界的に高まったように、今後も専門知識を持った製薬開発技術者の一層の活躍が期待されていくと思われます。
製薬開発技術者になるには博士号が圧倒的に有利
製薬開発技術者になるには、大学の理系(医学、薬学、化学、生物、農学、情報など)の学部に進学し、大学院まで進んでその分野の博士号を取ることが就職には圧倒的に有利といわれています。
それには例えば大学の薬学部(4年制)の場合、その先の大学院2年制に進むことが必要です。一般的に理系の研究分野の仕事に就く場合、先端の深い専門知識が必要になるため、製薬分野にかかわらず博士号をとって就職する人が多いのが現実です。必須の資格ではありませんが、「薬剤師」など国家資格があると有利でしょう。