フィギア原型師

フィギア原型師の仕事内容は?

フィギア原型師とはどんな仕事?どうすればなれる?


フィギア原型師とはフィギアの元となる型の造形をするのが仕事

・フィギア原型師はどんな仕事をするの?


アニメやゲームのキャラクターをかたどった等身大のフィギア、小型自販機の透明カプセルに入った車や怪獣のフィギア、お菓子のおまけのかわいい動物のフィギア……。

そのようなフィギアの元となる、さまざまなサイズの型の造形をするのが、フィギア原型師です。
フィギア原型師は、キャラクターを忠実に再現するだけでなく、魅力的な表情やポーズに仕上げることが求められる仕事です。

・アナログ造形とデジタル造形


原型をつくる方法は、大きくアナログとデジタルに2つに分かれます。

アナログ造形

アナログ造形では、粘土やポリエステルのパテ、ろう(ワックス)などを使って手作業でフィギアの原型をつくります。

デジタル造形

デジタル造形は、パソコンソフトで原型の設計図となる3DCGを制作します。
「Zbrush」などモデリング機能の充実した3DCGソフトを使ってデータを作成し、3Dプリンタなどで出力します。

・フィギア原型師の仕事の流れ


フィギア原型師の仕事内容を1つのフィギアの原型をつくる流れで紹介します。

企画の確認をしながら打ち合わせ

企画担当者の書いた「仕様書(しようしょ)」を見ながら、どのようなフィギアをつくるのかを確認します。
企画担当者はマーケティングや商品分析をして、人気の出そうなフィギアの企画を立てて仕様書を書いています。
その仕様書を見ながら、どんなキャラクターなのか、ポーズや表情はどんな感じか、サイズはどのくらいか、発売時期はいつか、いつまでに原型をつくればいいのかなどをしっかりと確認します。

ラフを作成する

打ち合わせしたことをもとに、完成イメージを伝えるための「おおまかなイメージ」を描きます。
これを「ラフ」といいます。(ラフというのはデザイン業界で、おおまかなイメージ画像やグラフィックイメージのことを指します)
フィギア原型師の場合、ラフは手描きで簡単なスケッチをサラサラと描く人もいれば、細部までしっかりとこだわりを描き込んでおく人もいます。

原型をつくる

原型をつくります。アナログ手法でつくる場合は、骨組みからつくってそこに粘土や固まるペースト状の造形材をつくってはりつけていきます。
あるいはブロック状のろう(ワックス)を彫刻のように削っていきます。そしてだいたい全体像が見えてきた段階で企画担当者に確認してもらいます。
デジタルでつくる場合は、ソフトを使って設計図となる3DCGをパソコン上でつくります。3DCGで造形ができたら出力して、修正点がないか、企画担当者に確認してもらいます。

こうして確認→修正→確認→修正のように幾度か修正しながら完成させます。

一般的にはここで原型師の仕事は終わりです。
このあとの工程では、原型をもとに、量産するための複製の型取りをする人、型に素材を流し込む人、彩色見本をつくる人、仕上げる人など、1体のフィギアをつくるのにもいろいろなプロセスがあり、いろいろな人が関わっていきます。

・ペイントマスター、フィニッシャーとは?原型師との違いは?


原型師が完成した原型には色がついていません。彩色見本をつくる人を「ペイントマスター」、見本を見ながらフィギアの色を塗って磨きあげる仕上げ作業を担当するのが「フィニッシャー」と呼ばれる人たちです。
実際には「フィニッシャー」が「ペイントマスター」を兼ねることも多いです。

原型師のつくった原型は基本となる大事なものなので、まずは原型をシリコンで型取りしたあと、一般的に合成樹脂などを流し込んで複製され、「ペイントマスター」によって彩色見本がつくられます。その後、「フィニッシャー」によって彩色されます。 目や口などを描き込む作業はとくに大事なポイントと言われています。

原型師が原型づくりから彩色、仕上げまですべてを行うこともあります。 
フィギア原型師はどんな働き方をするの?

フィギア原型師は社員として働く人と、フリーランスで働く人がいる

フィギア原型師はフィギアメーカーの社員として働く人と、フリーランスで働く人がいます。フィギアメーカーは大手から中小企業まであります。

会社員の場合は、勤務形態や給与はその会社によりますが、一般の会社のサラリーマンと同じように働いています。
しかし特に中小のメーカーでは納期が迫っている場合など、残業や休日出勤の多い職場もあるようです。

会社にもよりますが、メーカーに就職した場合、原型の制作補助や部品の描き込みなどの仕事から始めて経験を積んでから1つの原型を担当するようになります。
また1つのキャラクターの原型をチームで担当することもあるようです。

フリーランスの場合は、メーカーから依頼を受けて原型を制作します。
制作するフィギア1体についていくら、という具合に報酬が発生しているので、たくさん制作するほど年収が上がる仕組みです。
しかし基本的にフィギアの造形は細かい作業を根気強く行うことが必要なので、一度に大量につくれるものではありません。
腕を上げて単価の高い仕事を請け負っていくか、デジタル技術を使ってスピーディーにキレイに仕上げていくことが大事です。

フリーランスの場合、メーカーに認められて「このキャラクターはこの原型師」といったお抱え原型師になることで大きな仕事を任せてもらえるようです。
しかし一般的にフリーランスは収入が不安定になるため、原型師以外の仕事をもっている人も多いです。
フィギア原型師はどんな人に向いているの?

フィギア原型師には第一に手先の器用さを持つ人に向く

フィギア原型師にはどんな人が向いているのかを紹介します。 手先の器用さと空間把握能力

フィギア原型師には、優れた技術力が必要です。細かくリアルな立体表現をするためには、手先の器用さと空間把握能力が役立ちます。
 
柔軟な対応力

原型師はクライアントや企画担当者から出された企画意図に沿ってつくることが必要です。(それは買い手のニーズにこたえることになります。)そのような要望に柔軟にこたえていく力が求められます。

納期に間に合わせる力

すばらしい作品でも仕事では納期を守らないといけません。納期を考えながらつくっていく力が必要です。

デジタル造形の知識とスキル

フィギア界では急速にデジタル造形を行う原型師が増えています。
3DCGソフト(現在のフィギア制作では「Zbrush」が主流)や3Dプリンターを使いこなせると活躍の場が広がります。

フィギア原型師の将来展望は?

フィギア原型師の将来展望 デジタル技術に対応できる人が求められる

日本のアニメやゲームは「オタク」と呼ばれる人たちだけでなく、国内外の一般の人にまで人気があります。フィギア制作会社は年々増加していることから将来的にもフィギア原型師の仕事はニーズがあると思われます。
しかしこれからは手作業の造形よりも、C Gソフトと3Dプリンターを使い、デジタルで造形する原型師の求人ニーズが増えていくと予想されます。
デジタルの新しい技術にも対応しながら腕を上げていける人の活躍の場が増えそうです。
フィギア原型師にはこうすればなれる!

フィギア原型師になるには?専門学校で技術と知識を身につける

フィギア原型師になる方法をいくつか紹介します。

・まずは技術を身につける


プロとして原型師をめざすなら、まずは造形にかかわる技術力と知識が必要です。
高校を卒業した後、フィギア制作コースのある専門学校で技術と知識を身につけるのが1つの方法です。
フィギア専門学校で学ぶと、フィギアメーカーの求人情報を得やすいというメリットがあります。
オンラインや動画でフィギア制作の技術を学べる学校や講座もあります。

・メーカーに就職する場合


フィギアメーカーに就職するには、会社の採用試験に合格する必要があります。
就職活動には自分のつくった原型の完成品と作品集ファイル(ポートフォリオ)が必須になることが多いようです。

・独立してフリーランスとして活動する


フィギアメーカーに就職した後、独立してフリーランスの原型師になる道もあります。フリーランスとして安定して仕事を受けるには実績と人脈が必要です。
まずはメーカーに勤めて実績と人脈をつくってから独立することで、最初から依頼が見込める状態で仕事を始められるでしょう。
フリーランスでは、より自由な働き方が実現できます。

・展示会に出品してスカウトされる


自分でつくったフィギアを、フィギアの展示会やメーカー主催のイベントに出品するのも、原型師になるための1つのルートです。
優れた作品であれば、メーカーや関係者の目に留まって、原型師としてスカウトされる可能性があります。また腕を磨くために展示会やイベントへの参加をしていくことも役立ちます。

・原型師に求められる資格は?


フィギア原型師は技術職なので、クライアントの企画を形にする技術力が重要です。必須の資格はありませんが、3Dプリンターや3Dソフト(「Zbrush」など)を使いこなすスキルは、これから原型師をめざす人には必要な技術と言えるでしょう。