樹木医

樹木医の仕事内容は?

樹木医とは資格を持って樹木を診断するお医者さん


樹木医は樹木の病気の診断や治療、病気予防の指導する仕事

・樹木の病気を予防し治療(ちりょう)する



樹木医はその名のとおり樹木のお医者さんです。「樹木医」と名乗るには、財団法人日本緑化センターの「樹木医」資格試験に合格しなければなりません。


樹木医は樹木に関する豊富な知識と経験を持っており、樹木の病気の診断や治療、病気予防の指導をしています。樹木医が診療する樹木は、国や県の天然記念物に指定されているような保存樹だけでなく、街路樹や一般家庭の庭木までと幅広いです。 
たとえば街路樹は、排気ガスなどの環境汚染や病害虫、気候などから弱ったり枯れたりすることがあります。そんなとき、樹木医は病気の原因を検査して突き止め、肥料や薬を使ったり、土を変えたりなどして治療をしています。
また樹木が倒れて人がケガをしたり物が壊れたりする倒木(とうぼく)事故を未然に防ぐための仕事もしています。



・やりがいは植物が元気になること



樹木は人間のように言葉を話して、症状をくわしく教えてくれる訳ではありません。そのため樹木の病気の診断は、とても難しいものです。だからこそ自分の診断と治療によって、弱っていた樹木が元気を取り戻すときに、樹木医は大きな幸せとやりがいを感じます。
また依頼主の思い出の庭木を助けて感謝されるときや、みんなのさまざまな思い出がつまった地域の大切な樹を後世まで残せることに、大きなやりがいを感じる人が多いようです。
樹木医はどんな働き方をするの?

樹木医は本職? 年末や年度末が忙しい

・関連の本業にプラスして樹木医の資格を取る人が多い



今のところ樹木医のほとんどは専業ではなく、本業を充実させるための資格として取得しているようです。樹木医の資格を持つ人の本職は、造園業など樹木を扱(あつか)う仕事や、国や地方公共団体の農林・緑化関係職員、大学の研究所の教職員などです。

そのため同じ樹木医の資格を持っていても、それぞれの本職により、働く時間や給与水準などは、所属する企業や団体によって全く違います。


・樹木医の繁忙期は年末や年度末


樹木医の繁忙期(はんぼうき)は、年末や年度末と言われています。その時期に庭の手入れをして、初めて自分の育てている樹木の病気に気づき診断を依頼する人が多いためです。逆に夏は樹木がすくすくと育つため樹木医の出番は少ないようです。

樹木医はどんな人に向いているの?

樹木医は自然環境を守りたいという気持ちの強い人に向く

樹木医には、さまざまな樹木の種類と育成方法に興味があり、自然環境を守りたいという気持ちの強い人が向いています。樹木の立場で、その樹木に合った環境を整えてあげることに喜びや使命感を感じる人も向いているでしょう。
また季節を問わず屋外で作業をすることが多いため、フットワークが軽く体力がある人の方が向いています。
しかし樹木についた大量の害虫に遭遇(そうぐう)する機会も多いため、虫が苦手な人には、樹木医は精神的に厳(きび)しい仕事になりそうです。

樹木医の将来展望は?

樹木医の将来展望 環境保護の高まりと共にニーズが増えるか

日本では社会レベルで樹木を守り育てることや環境保護への関心が高まっています。樹木を守る樹木医の仕事に、今後もっとスポットライトが当たる可能性はあります。
現在は、樹木医の資格を取得している人はそれほど多くないため、「樹木医」の認知度はそれほど高くはありません。しかし今後、樹木医資格の認知度が上がれば、もっと気軽に個人が、自分の育てている観葉植物の病気について樹木医に相談して処置を教えてもらうなど、樹木医への依頼が増えることは期待できます。

樹木医にはこうすればなれる!

樹木医の資格を取るには?

・「樹木医」には7年の実務経験が必要



樹木医と名乗るには特別な学歴は必要ありませんが、「樹木医」または「樹木医補」の資格が必要です。樹木医の資格試験を受けるためには、最低でも7年の実務経験が必要です。そのため、現在樹木医の資格を持っている人たちは、造園会社、研究施設、林業などで、樹木に関わる知識と経験を積み重ねているのが一般的(いっぱんてき)です。



・実務経験1年でも「樹木医補」資格は取れる



しかし最近では、若手の樹木医の活躍が期待されていることから、特定の大学で樹木学などを学んでいれば試験が受けられる「樹木医補」の資格も新たに誕生しました。この「樹木医補」の資格を取ることで、1年以上の実務経験を経たのちに「樹木医」の資格試験が受けられます。
樹木医補の資格試験を受けるには、「樹木医補」養成機関として登録された専門学校や大学で、「樹木学」や「森林生態学」などの単位を取得する必要があります。
また樹木医補から樹木医に進む場合は、「樹木医補」養成機関として登録された専門学校や大学で必修科目の単位を取得し、卒業後に日本緑化センターに必要書類を提出して審査を受けることが必要です。