『作文の書き方を中学生向けに例文つきで解説!』
小学校に引き続き、中学校に入っても作文を書く機会はたくさんある。
行事作文に読書感想文、税や人権の作文など、学校で作文が課されるたび頭を抱える人も多いんじゃないかな。
文章を書く力は高校入試ではもちろん、将来、社会に出てからも求められるとても重要な力なんだ。今回は作文の書き方についてコツを伝授していくよ。
最後に良い作文のポイントもまとめているから、今より上手な作文が書きたい人もぜひ参考にしてみよう。
「作文が苦手」と答える人の多くは、原稿用紙を前に、何を、どう書いたらいいのかわからないと言う。
たしかに作文は、簡単なテーマを与えられるだけでこれといった正解がなく、自由に書いてよいからこそ悩ましい。
中学生にもなると、小学生の頃とは違って課される作文のテーマがぐんと難しくなる。
税の作文や人権作文など、親しみにくいものや普段あまり意識したことのないテーマについて書くことが求められる。
1、2行程度なら書けても800~1200字の作文ともなると、どのように内容を膨らませたらいいのかわからない。
そんなとき、何か思い浮かんでこないかな?とただ漠然と考えていても時間が過ぎていくばかりだ。
作文では、原稿用紙に書いていく前にやるべき大事なことがあるんだ。それは、ステップを踏んで考えていくこと。
考える中で自分がよく知らないことは調べながら知識を補っていく。必要に応じて書く材料を集めながら考えを深めていくことで、作文に書く内容はおのずと見えてくるよ。
何を書いたらいいのかはわかるし書きたいことはあるのに、どう書いたらいいのかわからない、書き出しでつまずいてしまう、というのも作文ではよくある悩みの一つ。
これには文章の構成を知ることが大切だ。自分の意見を述べるような作文の場合はとくに、読み手が納得できるように筋道立てて書いていく必要がある。
このあと、作文を書くためのステップと作文の構成について詳しく説明していくよ。
テーマと文字数を与えられてすぐ原稿用紙にすらすらと書いていける人はまずいない。
書き始める前に、書くことを自分の中から引き出したり資料などで調べたりして、何をどう書くかを構想する。
この段階が作文の一番の肝となるんだ。ここで、作文を書くための5つのステップを紹介しよう。
ステップ1 どんなテーマや課題に対して書くことが求められているかを確認する。
ステップ2 必要な材料を集めながら、テーマについて自分の立場や考えを決める。
ステップ3 文章の構成を決め、内容を固める。
ステップ4 原稿用紙に清書する。
ステップ5 書いた作文を見直し、推敲(すいこう)をして完成させる。
読書感想文や行事作文など、テーマが与えられてそれに対し自由に書いてよい作文では、このステップでやることはあまりない。
しかし、高校入試の作文や推薦入試で課される小論文などでは、問題で求められていることやそこに付けられている「条件」を最初に確認することが大切。
なぜなら、問題の指示や条件には、何について書くのか、どのような構成で書くのか、使わなければならない語句があるのかどうかなどが設定されていて、これらを見落とすと減点されるからだ。
過去の高校入試で出題された作文問題から、どのような指示や条件が示されているかを見てみよう。
【高校入試の作文 問題の指示や条件の例】
1.文章に書かれている考え方について、第一段落には賛成か反対か、自分の立場とその理由を書き、第二段落には、第一段落を踏まえて自分の考えを書く。
2.資料やグラフを見て気づいたことを第一段落に書き、それを踏まえて、第二段落には自分の考えを、体験や見聞きしたことを含めて書く。
3.複数の文章やスローガンを比較して、第一段落にはその違いや優劣について書き、それを踏まえて第二段落に自分の意見を書く。
4.「知識や経験の大切さ」について、次の条件にしたがって自分の考えを書く。
① 「知識」と「経験」と「新しい」の三つの言葉を使って書く。
➁ 自分の考えを理由を明確にして書く。
他にも資料から、どのような課題や問題点が読み取れるかを書くように指示される場合や、自分の考えの理由を書く際、身近な生活における体験や具体例に基づいて書くように指示される場合がある。
また、数字を使うときの細かい表記の仕方を指定される場合もある。繰り返しになるけれど、これらの指示や条件を一つでも守らないと試験の作文では減点されるので、最初に問題を確認することは大事だと覚えておこう。
実際に作文を書く要素を集めていく段階だ。
問題の指示や条件に書かれていてもいなくても、まず、自分の身の周りの生活を思い浮かべて、テーマに関して体験したことや聞いたことがないかを考えてみよう。
テーマが難しすぎてそれまで考えた経験がない場合は、ニュースや本、インターネットで知ったこと、調べて理解したことでもよい。テーマについて家族や友達と話してみるのも一つの手だ。
体験したり見聞きしたりした具体的なエピソードを、1つではなくいくつか挙げ、その中から記憶にしっかりと残っていて最も書きやすいものを選ぼう。
なぜなら、そのほうが深く掘り下げて考えられるからだ。これなら書けると思える題材が選べたら、その体験や見聞、調べたことなどについて感じたことや考えたことをメモしよう。
疑問や気になることが出てきたら、関連記事などでさらに詳しく調べてみるのもよい。
体験や見聞そのものだけでなく、自分はどう感じたか、何を考えたか、どう行動したかなどを加えることで、より具体的で印象深いエピソードになる。
これらを踏まえて、テーマや問題で問われていることに対し自分はどう考えるのか、なぜそう考えるのかをメモしよう。
自分の考えを引き出すには、先ほどメモした体験や見聞などをもとに、今後どんなことを心がけたいか、どんなことに取り組んでいきたいか、などと想像を膨らませてみよう。
体験や見聞などが具体的であればあるほど、自分の考えも明確になる。
書く要素が洗い出せたら、次は、どの順番で書いていくかを整理しよう。
当たり前だけれど、キミが書く作文には必ず読み手がいる。学校で書く作文なら読み手は先生やクラスメートだ。その読み手が納得できるようなわかりやすい文章を書くことが求められる。
では、読み手にとってわかりやすいのはどのような文章だと思う?
それは、書き手がいちばん伝えたいことが理由や背景とともに述べられている文章だ。
たとえば意見文なら、自分がなぜそう考えるのかという根拠を示しながら述べた文章で、読書感想文や行事作文なら、何がきっかけとなって自分の中にどんな変化が起きたのかを説明しながら、読書や行事を通して自分が至った考えを述べた文章だ。
そして、この読み手にとって伝わりやすい作文を書くためには、文章の構成がカギとなる。段落構成が問題の指示や条件で指定されていないときは、次の構成で書いてみよう。
「はじめ」...何について述べようとしているかを簡単に述べる。
「なか」...「はじめ」の理由にあたる内容や、詳しい背景を述べる。
「おわり」...結論部分。最も伝えたいことを簡潔に示して作文をまとめる。
この三段落構成は「序論・本論・結論」の構成とも言って、ある程度まとまった長い文章を書くときの基本的な構成だ。税の作文や人権作文、また、意見文を書く場合の例は次の通りだ。
【税や人権などの課題作文の場合】
「はじめ」...課題に関する身の周りの具体的なエピソードを書く。
「なか」...具体的なエピソードから考えたこと、疑問をもったこと、さらに詳しく調べたことなどを書く。
「おわり」...考えたり調べたりした結果、自分の考えがどう変わったかを書き、課題について学んだことや理解が深まったことをまとめる。
【自分の主張を述べる意見文の場合】
「はじめ」...何を問題にしようとしているか、問題点に対する自分の立場や主張をはっきりと書く。
「なか」...自分の立場や主張に対する理由と、考えを裏付ける具体的な例を書く。
「おわり」...改めて主張を示してまとめる。
書く内容が固まったらいよいよ原稿用紙に書いていこう。
小学校で一度学習しているとはいえ、原稿用紙を使う際の正しいルールは意外と忘れているものも多い。ここでおさらいしておこう。
【原稿用紙の基本的な使い方】
・題名(タイトル)は、原稿用紙の1行目に、上から2~3マス空けて書き始める。
・氏名は、下が1~2マス空くようにし、姓と名の間は1マス空けて書く。
・段落の始まりは、上から1マス空けて書き始める。
・小さな「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」は1字と数え、1マスに1つ、マス目の右側に書く。
・句読点(「、」や「。」)やかぎかっこなどの符号も文字と同じように1字と数え、1マスに1つ書く。
・会話文の終わりの句点(「。」)と閉じるかぎかっこは、1つのマス目に一緒に書く。
・句読点や閉じるかぎかっこ(」)が行の先頭にくるときは、前の行の最終マスのすぐ外に書くか、最終マスの中に入れる。
・「――」や「......」を使う場合は、2マス分を使って書く。
作文を清書するときには原稿用紙の使い方の他にも気をつけるべきポイントがあるよ。
1つめは、文章の口調(文体)を統一すること。文体には、「~だ。」「~である。」という文末で終わる「常体」と、「~です。」「~ます。」という文末で終わる「敬体」がある。
一つの文章で「常体」と「敬体」を混ぜて書くととても読みづらい印象を与えてしまうから、文体は必ずどちらかに統一して書くようにしよう。
2つめは、話し言葉を使わないこと。「~ちゃった」、「いろんな」、「帰ってない」、「信じらんない」や、「見れる」、「着れる」などのら抜き言葉はすべて話し言葉だ。
作文で使うときは、「~してしまった。」、「いろいろな」、「帰っていない」、「信じられない」、「見られる」、「着られる」など、書き言葉を使うようにしよう。
最後は、楷書で丁寧に書くこと。急いで書くときに漢字を崩して書くくせのある人はとくに気をつけよう。
構成はいわば文章の骨組み。骨組みが固まったら、次はいよいよ内容を加えていく肉付けの作業だ。
ここでも大切なのは読み手に伝わりやすい文章を心がけること。国語の読解問題で「なぜですか。」と理由を問われたとき、キミは文章のどんなところに注目するかな?
わかりやすく書かれた文章ならきっと「なぜなら...からだ。」「このように述べるのは......だからだ。」などの表現があって、そこが理由だと判断すると思う。
キミが書く作文でも同じように「考え」「根拠」「裏付けとなる具体例」それぞれの内容が、自分の頭の中でつながっているだけでなく、読み手にも伝わるような表現を使って書く必要がある。例を挙げるよ。
●「自分の考え」を示す表現...「私は、~と考える。」「私は、~という意見に賛成だ。」
●「根拠」を示す表現・・・「なぜなら、~からだ。」「その理由は、~である。」
●「体験」を述べることを示す表現・・・「以前、~ということがあった。」
●「具体例」が続くことを示す表現・・・「たとえば」
●資料から読み取れることを示す表現・・・「資料から、~ということがわかる。」
その他にも、前に述べたことをまとめる「つまり」「このように」という表現や、前の内容を踏まえていることを示す「このことから」などの表現がある。
こうした表現をうまく使って、文と文、内容と内容のつながりをわかりやすく示すことで、読み手に伝わりやすい文章を書くことができるよ。
書く要素を洗い出してみて必要な文字数まで埋まらないときは、もっと具体的に掘り下げてみよう。
たとえば、自分の体験を書く場合、誰かに言われた言葉を会話文で加えるとより具体的になる。
また、単なる出来事だけでなくそのとき抱いた自分の気持ちや取った行動などを細かく描写してみよう。
文字数が増えるのはもちろん、体験がキミ独自のエピソードになって作文自体の説得力を上げることもできる。
そして、「うれしい」「きれいだ」「難しい」などの人によって捉え方に差が出る感覚的な表現を使う場合は、どのようにうれしいのか、どう難しいのかなど具体的に説明するようにしよう。
課題作文ではテーマについての情報をさらに詳しく書き加えるのもよい。自分の考えと共通することわざや慣用句などを引用するのもおすすめ。
内容を掘り下げるときに注意してほしいのが、自分が伝えたいことと関連のある事柄にすること。自分の意見や、考えの変化が伝わりやすくなるよう工夫して掘り下げよう。
ここでは、実際の作文例を見ながら良い作文を書くコツを紹介するよ。問題例で説明しよう。
【問題】次のグラフは、「言葉の変化」に関する調査結果をまとめたものです。このグラフから読み取れることを踏まえて、「言葉の変化」に対するあなたの考えを書きなさい。
上のように文字数の多い作文では、段落をはっきりと分けて書くことで、どこに何が書かれているか、読み手にとってわかりやすくなる。
また、自分の考えを根拠を示しながら述べる、考えや理由を示す表現を使って書くことで、読み手に伝わりやすい文章になる。
また、前と後の内容がどのような関係でつながっているかをはっきりさせる接続詞などの言葉を使って書くことも、わかりやすい文章を書く大事なテクニックの一つ。
「なか」の段落では、グラフから読み取れること以外にも「言葉の変化」に関する身近な具体例を挙げていて、続く「おわり」の段落で述べる考えをしっかりと支えることができているよ。
作文が短時間で上達する方法は残念ながらない。上手に書けるようになるにはとにかく何度も書いて練習することだ。
でも、勉強や部活で忙しいうえに作文対策まで行うのはとても大変。だから、普段何かを書くときに次のことを意識してみよう。
★誤字や脱字に気をつける。助詞を正しく使う。★
誤字や脱字はもちろん、同じ読みでも正しくない漢字を使うと文章の意味が伝わらなくなる。
「て・に・を・は」などの助詞も一字でも違えば意図が正しく伝わらないことがある。
入試で誤字・脱字があれば点数が引かれてしまうんだ。日ごろから文字は丁寧に書くようにし、書いた文章に文字の誤りがないか、意味が通じるかをチェックするくせをつけよう。
★主語と述語の対応を意識する。★
(NG例)「私の夢は、立派な歯医者になりたい。」
(NG例)「私は、世界で活躍する人になることだ。」
上の二つの文は主語と述語がきちんと対応していない、ねじれた文だ。このような文も試験では減点される。
文を書くときは主語と述語がねじれていないかを必ず確認して、次のような主・述が正しく対応した文を書くようにしよう。
「私の夢は、立派な歯医者になることだ。」
「私は、世界で活躍する人になりたい。」
★一つの文には一つの内容だけを入れるようにし、一文を長くしすぎない。★
複数の内容を一つの文にして書こうとすると、一文が長くなって読みづらいうえに、主語と述語が複数出てきて対応がわかりづらくなる。
一文で伝えることは一つだけ!を意識して、短く簡潔な文を書くよう心がけよう。
★修飾語はかかる言葉の近くに置き、どの言葉を詳しくしているか、わかりやすくする。★
(例)「船はゆっくりと夕日が沈む中を進んでいった。」
上の文で「ゆっくり」なのは「船」の進む速さなのか、「夕日が沈む」速さなのか、どっちだろう?
実は、上の文は「ゆっくり」がどの言葉を修飾しているかがはっきりしないわかりづらい文だ。
「夕日が沈む」のが「ゆっくり」なら、「船は夕日がゆっくりと沈む中を進んでいった。」とし、「船」が進むのが「ゆっくり」なら、「船は夕日が沈む中をゆっくりと進んでいった。」とする。
修飾語は詳しく説明したい語の近くに置くことを意識しよう。
★ニュースに触れたら、自分はどう考えるか、なぜそう考えるのかと自問するくせをつける★
作文や小論文の対策が必要な受験生はとくに、自分の興味をもっていることや、最近話題になっていること、世界で起きている事件について自分の考えをもつようにしよう。
ニュースや新聞で見聞きする誰かの意見を参考にしながら、自分はどう考えるのか、なぜそう考えるのかと自分に質問することで考えるくせがついてくる。
日ごろから考えるくせをつけておくと、これまで一度も考えたことのない課題が入試で出ても、落ち着いて対応できるよ。
どうだったかな? 少しは作文が書けそうなイメージがもてたんじゃないかな。
学校生活を送る中でも夏休みの宿題でも、これから何度も作文を書くことになると思う。
そのとき、ここで紹介した「作文を書く5つのステップ」や「良い作文を書くコツ」を参考にして書いてみてほしい。
最初のうちはうまく書けなくても大丈夫。一朝一夕にはいかないけれど、いくつか書いているうちにコツをつかめるようになるよ。
作文に対する苦手意識を克服して、伝わる文章が書けるようになろう。
行事作文に読書感想文、税や人権の作文など、学校で作文が課されるたび頭を抱える人も多いんじゃないかな。
文章を書く力は高校入試ではもちろん、将来、社会に出てからも求められるとても重要な力なんだ。今回は作文の書き方についてコツを伝授していくよ。
最後に良い作文のポイントもまとめているから、今より上手な作文が書きたい人もぜひ参考にしてみよう。
作文の書き方がわからない!
たしかに作文は、簡単なテーマを与えられるだけでこれといった正解がなく、自由に書いてよいからこそ悩ましい。
何を書いたらいいのかわからない
税の作文や人権作文など、親しみにくいものや普段あまり意識したことのないテーマについて書くことが求められる。
1、2行程度なら書けても800~1200字の作文ともなると、どのように内容を膨らませたらいいのかわからない。
そんなとき、何か思い浮かんでこないかな?とただ漠然と考えていても時間が過ぎていくばかりだ。
作文では、原稿用紙に書いていく前にやるべき大事なことがあるんだ。それは、ステップを踏んで考えていくこと。
考える中で自分がよく知らないことは調べながら知識を補っていく。必要に応じて書く材料を集めながら考えを深めていくことで、作文に書く内容はおのずと見えてくるよ。
どう書いたらいいのかわからない
これには文章の構成を知ることが大切だ。自分の意見を述べるような作文の場合はとくに、読み手が納得できるように筋道立てて書いていく必要がある。
このあと、作文を書くためのステップと作文の構成について詳しく説明していくよ。
作文を書く5つのステップ!
書き始める前に、書くことを自分の中から引き出したり資料などで調べたりして、何をどう書くかを構想する。
この段階が作文の一番の肝となるんだ。ここで、作文を書くための5つのステップを紹介しよう。
ステップ1 どんなテーマや課題に対して書くことが求められているかを確認する。
ステップ2 必要な材料を集めながら、テーマについて自分の立場や考えを決める。
ステップ3 文章の構成を決め、内容を固める。
ステップ4 原稿用紙に清書する。
ステップ5 書いた作文を見直し、推敲(すいこう)をして完成させる。
ステップ1 どんなテーマや課題に対して書くことが求められているかを確認する。
しかし、高校入試の作文や推薦入試で課される小論文などでは、問題で求められていることやそこに付けられている「条件」を最初に確認することが大切。
なぜなら、問題の指示や条件には、何について書くのか、どのような構成で書くのか、使わなければならない語句があるのかどうかなどが設定されていて、これらを見落とすと減点されるからだ。
過去の高校入試で出題された作文問題から、どのような指示や条件が示されているかを見てみよう。
【高校入試の作文 問題の指示や条件の例】
1.文章に書かれている考え方について、第一段落には賛成か反対か、自分の立場とその理由を書き、第二段落には、第一段落を踏まえて自分の考えを書く。
2.資料やグラフを見て気づいたことを第一段落に書き、それを踏まえて、第二段落には自分の考えを、体験や見聞きしたことを含めて書く。
3.複数の文章やスローガンを比較して、第一段落にはその違いや優劣について書き、それを踏まえて第二段落に自分の意見を書く。
4.「知識や経験の大切さ」について、次の条件にしたがって自分の考えを書く。
① 「知識」と「経験」と「新しい」の三つの言葉を使って書く。
➁ 自分の考えを理由を明確にして書く。
他にも資料から、どのような課題や問題点が読み取れるかを書くように指示される場合や、自分の考えの理由を書く際、身近な生活における体験や具体例に基づいて書くように指示される場合がある。
また、数字を使うときの細かい表記の仕方を指定される場合もある。繰り返しになるけれど、これらの指示や条件を一つでも守らないと試験の作文では減点されるので、最初に問題を確認することは大事だと覚えておこう。
ステップ2 必要な材料を集めながら、テーマについて自分の立場や考えを決める。
問題の指示や条件に書かれていてもいなくても、まず、自分の身の周りの生活を思い浮かべて、テーマに関して体験したことや聞いたことがないかを考えてみよう。
テーマが難しすぎてそれまで考えた経験がない場合は、ニュースや本、インターネットで知ったこと、調べて理解したことでもよい。テーマについて家族や友達と話してみるのも一つの手だ。
体験したり見聞きしたりした具体的なエピソードを、1つではなくいくつか挙げ、その中から記憶にしっかりと残っていて最も書きやすいものを選ぼう。
なぜなら、そのほうが深く掘り下げて考えられるからだ。これなら書けると思える題材が選べたら、その体験や見聞、調べたことなどについて感じたことや考えたことをメモしよう。
疑問や気になることが出てきたら、関連記事などでさらに詳しく調べてみるのもよい。
体験や見聞そのものだけでなく、自分はどう感じたか、何を考えたか、どう行動したかなどを加えることで、より具体的で印象深いエピソードになる。
これらを踏まえて、テーマや問題で問われていることに対し自分はどう考えるのか、なぜそう考えるのかをメモしよう。
自分の考えを引き出すには、先ほどメモした体験や見聞などをもとに、今後どんなことを心がけたいか、どんなことに取り組んでいきたいか、などと想像を膨らませてみよう。
体験や見聞などが具体的であればあるほど、自分の考えも明確になる。
ステップ3 文章の構成を決め、内容を固める。
当たり前だけれど、キミが書く作文には必ず読み手がいる。学校で書く作文なら読み手は先生やクラスメートだ。その読み手が納得できるようなわかりやすい文章を書くことが求められる。
では、読み手にとってわかりやすいのはどのような文章だと思う?
それは、書き手がいちばん伝えたいことが理由や背景とともに述べられている文章だ。
たとえば意見文なら、自分がなぜそう考えるのかという根拠を示しながら述べた文章で、読書感想文や行事作文なら、何がきっかけとなって自分の中にどんな変化が起きたのかを説明しながら、読書や行事を通して自分が至った考えを述べた文章だ。
そして、この読み手にとって伝わりやすい作文を書くためには、文章の構成がカギとなる。段落構成が問題の指示や条件で指定されていないときは、次の構成で書いてみよう。
「はじめ」...何について述べようとしているかを簡単に述べる。
「なか」...「はじめ」の理由にあたる内容や、詳しい背景を述べる。
「おわり」...結論部分。最も伝えたいことを簡潔に示して作文をまとめる。
この三段落構成は「序論・本論・結論」の構成とも言って、ある程度まとまった長い文章を書くときの基本的な構成だ。税の作文や人権作文、また、意見文を書く場合の例は次の通りだ。
【税や人権などの課題作文の場合】
「はじめ」...課題に関する身の周りの具体的なエピソードを書く。
「なか」...具体的なエピソードから考えたこと、疑問をもったこと、さらに詳しく調べたことなどを書く。
「おわり」...考えたり調べたりした結果、自分の考えがどう変わったかを書き、課題について学んだことや理解が深まったことをまとめる。
【自分の主張を述べる意見文の場合】
「はじめ」...何を問題にしようとしているか、問題点に対する自分の立場や主張をはっきりと書く。
「なか」...自分の立場や主張に対する理由と、考えを裏付ける具体的な例を書く。
「おわり」...改めて主張を示してまとめる。
ステップ4・5 原稿用紙に清書し、見直しや推敲(すいこう)をして完成させる。
小学校で一度学習しているとはいえ、原稿用紙を使う際の正しいルールは意外と忘れているものも多い。ここでおさらいしておこう。
【原稿用紙の基本的な使い方】
・題名(タイトル)は、原稿用紙の1行目に、上から2~3マス空けて書き始める。
・氏名は、下が1~2マス空くようにし、姓と名の間は1マス空けて書く。
・段落の始まりは、上から1マス空けて書き始める。
・小さな「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」は1字と数え、1マスに1つ、マス目の右側に書く。
・句読点(「、」や「。」)やかぎかっこなどの符号も文字と同じように1字と数え、1マスに1つ書く。
・会話文の終わりの句点(「。」)と閉じるかぎかっこは、1つのマス目に一緒に書く。
・句読点や閉じるかぎかっこ(」)が行の先頭にくるときは、前の行の最終マスのすぐ外に書くか、最終マスの中に入れる。
・「――」や「......」を使う場合は、2マス分を使って書く。
作文を清書するときには原稿用紙の使い方の他にも気をつけるべきポイントがあるよ。
1つめは、文章の口調(文体)を統一すること。文体には、「~だ。」「~である。」という文末で終わる「常体」と、「~です。」「~ます。」という文末で終わる「敬体」がある。
一つの文章で「常体」と「敬体」を混ぜて書くととても読みづらい印象を与えてしまうから、文体は必ずどちらかに統一して書くようにしよう。
2つめは、話し言葉を使わないこと。「~ちゃった」、「いろんな」、「帰ってない」、「信じらんない」や、「見れる」、「着れる」などのら抜き言葉はすべて話し言葉だ。
作文で使うときは、「~してしまった。」、「いろいろな」、「帰っていない」、「信じられない」、「見られる」、「着られる」など、書き言葉を使うようにしよう。
最後は、楷書で丁寧に書くこと。急いで書くときに漢字を崩して書くくせのある人はとくに気をつけよう。
構成が決まれば、あとは細かく肉付けするだけ!
文章の骨組みと肉付け
ここでも大切なのは読み手に伝わりやすい文章を心がけること。国語の読解問題で「なぜですか。」と理由を問われたとき、キミは文章のどんなところに注目するかな?
わかりやすく書かれた文章ならきっと「なぜなら...からだ。」「このように述べるのは......だからだ。」などの表現があって、そこが理由だと判断すると思う。
キミが書く作文でも同じように「考え」「根拠」「裏付けとなる具体例」それぞれの内容が、自分の頭の中でつながっているだけでなく、読み手にも伝わるような表現を使って書く必要がある。例を挙げるよ。
●「自分の考え」を示す表現...「私は、~と考える。」「私は、~という意見に賛成だ。」
●「根拠」を示す表現・・・「なぜなら、~からだ。」「その理由は、~である。」
●「体験」を述べることを示す表現・・・「以前、~ということがあった。」
●「具体例」が続くことを示す表現・・・「たとえば」
●資料から読み取れることを示す表現・・・「資料から、~ということがわかる。」
その他にも、前に述べたことをまとめる「つまり」「このように」という表現や、前の内容を踏まえていることを示す「このことから」などの表現がある。
こうした表現をうまく使って、文と文、内容と内容のつながりをわかりやすく示すことで、読み手に伝わりやすい文章を書くことができるよ。
字数を増やしたいときは...
たとえば、自分の体験を書く場合、誰かに言われた言葉を会話文で加えるとより具体的になる。
また、単なる出来事だけでなくそのとき抱いた自分の気持ちや取った行動などを細かく描写してみよう。
文字数が増えるのはもちろん、体験がキミ独自のエピソードになって作文自体の説得力を上げることもできる。
そして、「うれしい」「きれいだ」「難しい」などの人によって捉え方に差が出る感覚的な表現を使う場合は、どのようにうれしいのか、どう難しいのかなど具体的に説明するようにしよう。
課題作文ではテーマについての情報をさらに詳しく書き加えるのもよい。自分の考えと共通することわざや慣用句などを引用するのもおすすめ。
内容を掘り下げるときに注意してほしいのが、自分が伝えたいことと関連のある事柄にすること。自分の意見や、考えの変化が伝わりやすくなるよう工夫して掘り下げよう。
良い作文を書くコツを例文つきで紹介
【問題】次のグラフは、「言葉の変化」に関する調査結果をまとめたものです。このグラフから読み取れることを踏まえて、「言葉の変化」に対するあなたの考えを書きなさい。
上のように文字数の多い作文では、段落をはっきりと分けて書くことで、どこに何が書かれているか、読み手にとってわかりやすくなる。
また、自分の考えを根拠を示しながら述べる、考えや理由を示す表現を使って書くことで、読み手に伝わりやすい文章になる。
また、前と後の内容がどのような関係でつながっているかをはっきりさせる接続詞などの言葉を使って書くことも、わかりやすい文章を書く大事なテクニックの一つ。
「なか」の段落では、グラフから読み取れること以外にも「言葉の変化」に関する身近な具体例を挙げていて、続く「おわり」の段落で述べる考えをしっかりと支えることができているよ。
今日から始められる小さな習慣
でも、勉強や部活で忙しいうえに作文対策まで行うのはとても大変。だから、普段何かを書くときに次のことを意識してみよう。
★誤字や脱字に気をつける。助詞を正しく使う。★
誤字や脱字はもちろん、同じ読みでも正しくない漢字を使うと文章の意味が伝わらなくなる。
「て・に・を・は」などの助詞も一字でも違えば意図が正しく伝わらないことがある。
入試で誤字・脱字があれば点数が引かれてしまうんだ。日ごろから文字は丁寧に書くようにし、書いた文章に文字の誤りがないか、意味が通じるかをチェックするくせをつけよう。
★主語と述語の対応を意識する。★
(NG例)「私の夢は、立派な歯医者になりたい。」
(NG例)「私は、世界で活躍する人になることだ。」
上の二つの文は主語と述語がきちんと対応していない、ねじれた文だ。このような文も試験では減点される。
文を書くときは主語と述語がねじれていないかを必ず確認して、次のような主・述が正しく対応した文を書くようにしよう。
「私の夢は、立派な歯医者になることだ。」
「私は、世界で活躍する人になりたい。」
★一つの文には一つの内容だけを入れるようにし、一文を長くしすぎない。★
複数の内容を一つの文にして書こうとすると、一文が長くなって読みづらいうえに、主語と述語が複数出てきて対応がわかりづらくなる。
一文で伝えることは一つだけ!を意識して、短く簡潔な文を書くよう心がけよう。
★修飾語はかかる言葉の近くに置き、どの言葉を詳しくしているか、わかりやすくする。★
(例)「船はゆっくりと夕日が沈む中を進んでいった。」
上の文で「ゆっくり」なのは「船」の進む速さなのか、「夕日が沈む」速さなのか、どっちだろう?
実は、上の文は「ゆっくり」がどの言葉を修飾しているかがはっきりしないわかりづらい文だ。
「夕日が沈む」のが「ゆっくり」なら、「船は夕日がゆっくりと沈む中を進んでいった。」とし、「船」が進むのが「ゆっくり」なら、「船は夕日が沈む中をゆっくりと進んでいった。」とする。
修飾語は詳しく説明したい語の近くに置くことを意識しよう。
★ニュースに触れたら、自分はどう考えるか、なぜそう考えるのかと自問するくせをつける★
作文や小論文の対策が必要な受験生はとくに、自分の興味をもっていることや、最近話題になっていること、世界で起きている事件について自分の考えをもつようにしよう。
ニュースや新聞で見聞きする誰かの意見を参考にしながら、自分はどう考えるのか、なぜそう考えるのかと自分に質問することで考えるくせがついてくる。
日ごろから考えるくせをつけておくと、これまで一度も考えたことのない課題が入試で出ても、落ち着いて対応できるよ。
最後に
学校生活を送る中でも夏休みの宿題でも、これから何度も作文を書くことになると思う。
そのとき、ここで紹介した「作文を書く5つのステップ」や「良い作文を書くコツ」を参考にして書いてみてほしい。
最初のうちはうまく書けなくても大丈夫。一朝一夕にはいかないけれど、いくつか書いているうちにコツをつかめるようになるよ。
作文に対する苦手意識を克服して、伝わる文章が書けるようになろう。
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