寿司職人

寿司職人の仕事内容は?

寿司職人になるには?修業は必要?


寿司職人とは和食の中でも寿司を専門とする職人のこと

・寿司職人とは?


寿司職人は、和食の中でも寿司を専門とする職人です。魚の仕入れや寿司ネタの仕込みを行い、寿司を握り、お客さまの接客などを行います。

・寿司職人の仕事内容


寿司職人の仕事内容を1日の流れで紹介します。

◯ 材料の仕入れ
早朝に市場に行っておいしい魚介(ぎょかい)を仕入れることは寿司職人の仕事です。
寿司職人の扱う食材は、寿司ネタとなる魚や貝、海藻があります。
魚には旬があり、定番の魚のほかに、その季節に美味しくなる魚を仕入れることも大事です。おいしい魚を見分けられる人を「目利き(めきき)」と言います。寿司職人は、経験を積んで目利きの技術を磨きます。
またご飯や卵、わさび、しょうが、きゅうりなどの仕入れも行います。

◯ 魚やシャリ(ご飯)の仕込み
仕入れた魚をさばきます。包丁の使い方次第で、ネタの味や美味しさに大きな差が出ます。包丁さばきのよさが寿司職人の腕のよさと言っていいほど、包丁さばきは大切な技術です。また仕込みには、切ったネタを寝かせたり、昆布でしめたり、食材に合わせたひと手間、ふた手間の技があります。仕込みは寿司の味を左右するとても大事な作業です。

魚の仕込み以外にも、シャリ(ご飯)や、お吸い物、そのほか一品料理の仕込みも行います。


◯ 握りと接客
お客さまが入店したら、お通しやお造り、握りをつくって提供します。
高級店のカウンターでは、お客さまと会話しながら、お客さまのおなかの空き具合や好みを見抜き、食べるスピードに合わせながら臨機応変に提供していきます。


◯ 皿洗いや掃除
見習いの寿司職人の場合は、食器洗いや店の掃除、仕込みの手伝い、食材の買い出しなど、裏方の仕事をメインに行います。食品を扱う店内では衛生面の管理は大切な仕事。洗い物や掃除を丁寧に行い、いつも店をピカピカにしておきます。
見習い期間の寿司職人はそうした裏方の仕事をしながら、親方や先輩たちの接客の技術、握りの技術、仕込みの仕方、仕入れをしっかりと見て学ぶことも仕事です。

◯ お会計
お客さまのお帰りの際にはお会計を行います。お客さまに感謝を込めてお見送りをします。

ここで紹介したのは、一般的な寿司店や高級店の仕事内容です。大手チェーンの回転寿司などでの場合は、魚の仕入れやネタの仕込みは本部で行われ、接客もそれほど高い技術を求められないようです。
寿司職人はどんな働き方をするの?

寿司を一人前に握れるようになるまでに長い修業期間がある

寿司職人の勤務先は、銀座の高級店、地域の寿司店、大手チェーンの回転寿司、出前に特化した寿司店など様々です。

カウンター中心の寿司店や高級店では、仕入れから仕込みまで幅広い業務を行います。寿司を一人前に握れるようになるまでに長い修業期間があります。
およそ3年間の下積み時代は、掃除や皿洗い、出前などを行い、給与をもらいながら、先輩から現場で技術を学んでいきます。住み込みの寮のある店も多いですが、見習い期間の給与は決して高いとは言えません。
朝4時から市場に仕入れに行き、閉店後も掃除や片づけを行うため、1日の労働時間は長くなります。見習い期間はまさに体力勝負とも言えるので、その長い修業期間に耐えられず夢半ばにあきらめてしまう人も多いと言われています。

一方大手チェーン店の回転寿司などに就職して働く場合は、仕入れや仕込みなどプロの技の必要な部分は本部で行われ、寿司の握りもロボットが握る店も増えています。長い修業期間は必要とされず、働きやすいのが特徴です。
しかし職人として仕入れの「目利き」や包丁さばき、握りの技術を向上させるのが難しいと言われています。自分がどのような職人をめざすのかを考えて、就職先を選ぶ必要があります。

寿司職人はどんな人に向いているの?

寿司職人には日本の食文化を伝えていくことに誇りを感じる人に向く

寿司職人にはどんな人が向いているのか紹介します。

◯ 努力を惜しまない人
お客さまおいしい寿司を提供することを目標に、技術を学ぶ努力を惜しまない人が向いています。


◯ 味覚や美的センスに優れている人
寿司は繊細な食べ物です。食材の微妙な味の違い、香り、食感の違いなどがわかる優れた味覚を持つ人に向いています。また和食は全般的に器を含めた盛り付けの美しさが求められます。美的センスに優れている人も寿司職人に向いています。


◯ 「寿司」という日本の伝統食に誇りを感じる人
寿司は海外から人気の高い日本の代表的な料理です。寿司職人は日本を代表する食文化を伝えていくことに、誇りを感じる人にも向いています。

◯ 素直に先輩から学べる人
職人の世界ではどこでも「型」や「技」を先達から学ぶことが求められます。そうしたことを素直に学べる人が寿司職人に向いていると言えます。素直な人は先輩から多くを教えてもらえるので成長することができます。

◯ コミュニケーション能力
カウンターに立つ職人さんであれば、お客さまとの会話も大事な仕事です。コミュニケーション力の高い人であれば、より「おもてなしの心」を伝えることができます。
寿司職人の将来展望は?

寿司職人の将来展望 世界各地で技術を生かすことができる

国内では、先述のように様々な形態の寿司屋さんがあります。大手チェーンの回転寿司などではロボットが導入されて、寿司を握る職人さんの姿が減ってきています。

しかし一般の寿司屋や高級寿司店では、まだまだ寿司職人の仕事に対してニーズがあります。経験を積んだ寿司職人の握る寿司は美味しさが違います。また会話の中でお客さまの好みやおなかの空き具合などを判断して握り方やシャリの量を調整するなどは、今のところ人間にしかできない技と言えます。

また海外に目を向けても、寿司は人気の料理の1つです。和食ブームがうたわれるなか、今後も寿司レストランは広がっていくでしょう。
寿司を握る技術を取得すれば、日本国内に限らず世界各地で技術を活かすことができます。

寿司職人にはこうすればなれる!

寿司職人になるには?


寿司職人の技術を学ぶ方法は主に2つあります。未経験から実店舗に見習いとして入店する方法と、養成学校で技を学んでから店舗に就職する方法です。

・見習いとして未経験で入店


1つは未経験から一般の寿司店や高級寿司屋に見習いとして入店して、技術を現場で覚えていく方法です。いきなり握りの修業をさせてもらえるわけではなく、皿洗いや出前といった業務をしながら先輩の仕事を見て学ぶことになります。初めて魚に触らせてもらえるのは、弟子入りから3年ほど経ってから。握りを客に出せるようになるまでにそれから5年はかかると言われています。
長い修業期間ですが、弟子入りのメリットは丁寧に四季ごとの魚の仕込み方を学べることと、店舗での接客方法を、お給料をもらいながら学べることです。

・養成学校で技術を学んでから就職


寿司職人を養成する専門学校が近年注目を集めています。
学校のカリキュラムに沿って寿司職人の技を学んでいくと、数週間から数か月でひと通りの寿司を握れるぐらいの技術が身につきます。
養成学校で学ぶメリットは、調理に必要な技術をすぐに体系的に教えてもらえることです。定番として使われるマグロやハマチ、アジ、ひらめ、うに、ホタテなどの選び方、さばき方、握り方を合理的に短期間に学べるのが魅力です。
また学校によっては実店舗を持っており、実習で寿司を提供したり接客スキルを身につけたりすることもできます。
また開業のためのオプション講義のあるところもあります。
しかし見習いで入店するのと違い、学校なので学費がかかります。また四季に応じたさまざまな種類の魚の仕込み方法や、さまざまなお客さまに対するプロの接客術などは、現場で地道に学んでいかなければなりません。

・養成学校は海外就職におすすめ


海外で寿司店を開きたい、海外で就職したいという人には、短期間で寿司の基礎を習得できる専門学校は、おすすめの進路と言えます。
海外では寿司の本場、日本で技術を学んだ日本人の職人に高いニーズがあります。寿司職人養成学校では、海外への就職もサポートしていますし、専門学校では海外で人気の高い「カリフォルニアロール」など、ロール寿司の技術も学べます。

海外で寿司職人をめざす人は、英語力を伸ばしつつ養成学校で寿司職人のカリキュラムを学ぶことで道が早く開けるでしょう。