JETRO職員の仕事内容は?
JETROとは? 日本の貿易の発展・拡大のために働く
JETROは海外ビジネスのためのノウハウや事務手続きをサポートする
・JETROとはそもそも何をしている機関?
JETROは、「独立行政法人 日本貿易振興機構」の英語表記の略称で、日本の貿易の発展・拡大のためにさまざまな活動をしている公的な機関です。
ここではJETRO職員の代表的な仕事内容を順に紹介します。
・日本企業の海外ビジネス展開を応援する
JETRO職員の仕事の代表的なものに、中小企業をメインとする日本企業の海外展開のためのサポートがあります。
とくに中小のメーカー企業では、海外に商品やサービスを展開したいけれども、海外ビジネスのためのノウハウや事務手続きなど全くわからない、という会社が多いそうです。また海外ビジネスといっても、国によって法律が異なるのでビジネスに必要な事務手続きや商習慣も違います。
そこでJETRO職員は、無料のセミナーや相談会などを開き、各国に対するビジネス展開のノウハウや、国ごとの事務手続き方法を教えたり、海外展示会を開催して販路拡大を応援したりしています。
・日本企業への投資と外国企業の日本誘致を促している
JETRO職員は、海外企業の日本でのビジネス展開をサポートし、日本誘致活動を行っています。とくに、高い付加価値を生み出す可能性のある新技術やビジネスモデルの事業を重点的に誘致しています。 海外企業の日本への誘致は、日本に雇用の機会を生み出したり、消費活動を活発にしたりして日本の経済を活発化するチャンスをつくります。
そのため、JETRO職員は、地方自治体とも協力して、地域活性化に貢献する可能性のある外国企業の誘致にも力を入れています。
具体的には、各地域の海外事務所で、外国企業に対して日本進出の魅力を伝えるセミナーを開催したり、日本の地方自治体と外国企業のマッチングサポートを行ったりしています。
・日本の農林水産物のプロモーション活動
日本の農林水産物は海外からも注目されており、政府も日本の農林水産物・食品の輸出の増大に期待しています。
JETRO職員は、日本の農林水産物や食品の生産者が、商品を輸出するためのサポートに力を入れており、農林水産物や食品輸出のノウハウや法律、手続きなどの勉強会やセミナーを開催しています。
また、海外のバイヤーと国内外での商談会の開催をしたり、世界各国での食品展示会に、日本の農林水産物・食品の生産者が商品を出展するためのサポートを行ったりしています。
さらに日本産の農林水産物や食品の魅力を海外に伝えるのも職員の仕事です。例えば「生ガキといえば日本酒」といった新しい組み合わせを欧米の人たちに提案するなど対象国を絞ったプロモーション活動を行い、日本産食品のブランド力を上げる努力をしています。
・海外市場の調査・研究、情報発信
JETROは世界の70か所以上の海外事務所の拠点や、現地の研究所や政府、研究機関とのネットワークを生かし、その国の最新ビジネス情報や、地域の経済や産業の動向、輸出入に関する法律などの調査や研究を行い、日本企業や政府に広く提供しています。
こうした調査研究は、政府が諸外国と貿易の協定などを結ぶときの参考資料となったり、企業が海外ビジネスを展開する際の情報源になったりしています。
JETRO職員はどんな働き方をするの?
JETROの職員は約半数の職員が海外に駐在
・JETRO職員の勤務先は?
JETROは、国内外合わせて100以上の本部や事務所があります。
全従業員数約1700名のうち、約半数の職員が海外に駐在しています。(2021年4月現在)
JETRO職員は「総合職」と「一般職」の区分があり、総合職で採用された職員は3年~4年おきに国内や世界中を転勤する働き方です。
一方、一般職については国内の東京と千葉のどちらかが勤務先になります。
またJETROには、独自の採用を行う「アジア経済研究所」があり、ここでは「博士号」を持った研究者たちがおもに東南アジアや南アジアの研究調査を行い、政府の政策やJETROの事業に役立てています。研究所の人たちは、アジア地域への海外赴任の可能性があります。
・JETRO職員の年収は?
JETRO職員の年収は、仕事内容や専門性に比べてそれほど水準が高くないと言われています。しかし海外駐在の場合は年収が高くなることが知られています。
JETRO職員はどんな人に向いているの?
JETROとは、職員はどんな人に向いている?
・国際感覚に優れた人
JETRO職員には国際的なバランス感覚を持った人が求められます。JETROの業務は世界中の企業を相手に調整・交渉する必要があります。総合職職員は、国際的に活躍したい、さまざまな国の人と働きたい、という人にはやりがいを感じられる仕事です。一般職職員も国内で勤務していてもかかわる案件は貿易や海外市場関連になるため、国際感覚が求められます。
・モラル意識の高い人
JETROは政府関係機関として、法令を守る姿勢を強く社員に求めています。さまざまな情報にアクセスできる立場を私的に利用する人では困るからです。また知識不足から万一相手の国の法に触れるようなことがあれば国際問題に発展してしまうリスクがあるからです。常に各国の法律を守るという意識の高さが求められます。
・コミュニケーション能力が高い人
日本の中小企業に海外ビジネスのための相談に乗ったりアドバイスを行ったり、外国企業に対日投資を働きかけるなどには高いコミュニケーション能力が必要です。語学力はもちろんですが、相手の伝えたいことをきちんと理解し、こちらの希望も上手に伝えることが得意な人に向いています。
・専門分野を持って勉強し続けられる人
JETROでは日本企業の海外進出支援、対日投資の促進、海外市場の調査・研究など幅広い業務があります。この分野を極める、というビジョンをもち、将来的に専門分野を持ってリードできる人材が強く求められています。また常にその専門性を磨いていく向上心のある人も向いています。
・柔軟性とバイタリティーのある人
総合職職員の場合、日本全国や世界中の事務所への転勤を繰り返します。長く働いていくためには、知らない土地でも自分らしく暮らせる柔軟性やバイタリティーのある人が向いています。
JETRO職員の将来展望は?
JETROの将来展望 海外展開をめざす企業が増加で重要性は高まる
日本の国内市場が縮小傾向にあるため、海外展開をめざす企業が増加してきて、JETROの存在の重要性は高まっています。
しかし最近では、民間でも国際ビジネスを専門とするコンサルタントも活躍していて、JETRO職員と競合する存在となってきています。
また新卒採用の職員は、民間企業での実務経験がないけれども、中小企業の海外進出などに関して相談やアドバイスを行わなければならない立場になるため、今後は、民間企業での実務経験を積んだ「社会人採用枠」が増え、新卒の求人数が絞られる可能性も考えられます。
しかし最近では、民間でも国際ビジネスを専門とするコンサルタントも活躍していて、JETRO職員と競合する存在となってきています。
また新卒採用の職員は、民間企業での実務経験がないけれども、中小企業の海外進出などに関して相談やアドバイスを行わなければならない立場になるため、今後は、民間企業での実務経験を積んだ「社会人採用枠」が増え、新卒の求人数が絞られる可能性も考えられます。
JETRO職員にはこうすればなれる!
JETRO職員になるには? 学歴は必要?資格は?
・JETRO職員になるルート
JETROの新卒採用には、総合職と一般職がありますが、年によっては総合職のみの採用となることもあります。エントリーはJETRO新卒採用専用サイトから行います。エントリーシートの審査に通った人は、その後の筆記試験・複数回の面接へと進みます。
・職員になるために必要な資格は?
JETRO職員の採用に応募するために必須の資格はとくにありません。
しかしTOEIC®︎や英検®︎など、英語関連の資格は在学中に取得しておくことをおすすめします。英語以外の語学スキルも信頼性の高い語学の資格・検定試験を受けてスコアを提示できるようにしておくと有利です。
・JETRO職員に必要な学歴は?
JETROは経済と貿易の振興を目的とした機構です。4年制大学卒業以上の学歴が必要です。 研究職では、博士号を取得していることが応募条件になっています。
大学では、経済学、商学、貿易法を含む法学を学べる学部・学科に進学すると、採用試験の際のアピールポイントになります。それ以外では、外国語学部や国際関係学部など、実践的な高い英語力と国際感覚を磨ける学部に進学すると実務で役に立つでしょう。
またJETROでは職業体験として、インターンシップを募集している年度もあります。インターンシップでは、JETRO内での実際の職員の業務や生活の様子を具体的に知ることができ、採用試験のときに志望の「本気度」をアピールできるでしょう。