撮影監督

撮影監督の仕事内容は?

撮影監督とは? 映画監督とどう違う? アニメの撮影監督は何をするの?


撮影監督とは「画づくり」の総責任者

・撮影監督の仕事とは?


撮影監督は、映画の中でも「画づくり(えづくり)」の総責任者で、映画監督とは違います。

撮影監督の仕事は、映画監督が撮りたい画(え)を表現するために、照明チームや美術チームなど、関係する部門と打ち合わせをして、その画を具体化するのが仕事です。

撮影監督の仕事は、アーティスティックなセンスだけでなく、カメラやレンズの選び方、映像編集、照明の知識など、技術的なことも幅広く知っていなくてはなりません。

・欧米式の撮影監督と日本式の撮影監督との違い


撮影監督は、欧米では「 Director of Photography(DP)」と呼ばれます。

欧米式の撮影監督は、映画の照明チームと撮影チームを統括していて、撮影監督が、照明技師にライティングの指示を出します。

一方、日本では撮影チームと照明チームは分かれて仕事をしており、照明の総責任者は「照明技師(照明監督)」と呼ばれ、撮影監督とは対等な立場の現場が多いです。そのため照明に関しては指示するというより、照明技師と打ち合わせをして決めています。

しかし欧米流に撮影チームと照明チームを撮影監督が統括している方が、映像に一貫性、統一感をもたせることができるメリットがあり、最近は日本でも欧米式に撮影監督が、撮影チームと照明チーム両方を統括している現場も出てきています。

・撮影監督とカメラマンとの違い


カメラマンは、カメラを持って撮影する人の総称ですが、撮影監督は映画の現場でカメラを持つとは限りません。
現場では撮影監督のほかにカメラマンやその周辺の職種の人たちがおり、撮影監督はおもに指示をしています。

・映画の「画づくり」(えづくり)とは?


撮影監督は映画の「画づくり」の総責任者です。
映像業界では「画づくり」を「ルック」をつくる、ともいいます。「ルック」とは、映像の雰囲気やたたずまい全般のことで、人物や物の構図やカメラアングル、光、色調、細部の小物などが、「ルック」をつくります。
撮影監督は、映画のシーンを効果的に伝えるために、「ルック」の細かい部分にまでこだわり、照明部や美術部など関連の人たちと打ち合わせをします。どのようにこだわるのかを具体的に紹介します。

1 構図

被写体の向きや、位置関係の構図によって、ルックに意味が生まれます。 例えば中心に大きく置かれた人物は、主人公であることを明確にします。

2 光

照明などの光はそれをひとつ変えることで、雰囲気を一瞬で切り替えたり、だれがどこにフォーカスしているかを示したりできます。
例えば、一部にだけ光が当たっていると、そこに主人公が注意を払っていることが伝わります。

3 色

色彩をどう使うかによって映像全体の印象が変わります。
例えば全体的に青みがかった映像ではシリアスなシーンを演出することができます。映像作品における色調の演出は、カラーグレーディングという工程によるものです。

4 小物 衣装などの細部

人物の家に置かれた小物などの全体の中の細かい部分は、言葉がなくても、ビジュアルランゲージで状況を説明したり、メッセージを伝えたりすることができます。

・アニメの撮影監督とはどう違うの?


アニメーションの撮影監督も、映像の最終責任者という点では実写映画と同じです。
現在のデジタルアニメでは、被写体をカメラで撮影することはありません。
キャラクターの動画や背景などの素材を合成して、ひとつの映像データにする工程が「撮影」と呼ばれ、これを撮影監督が監督します。特殊効果を追加したり、画面の質感を変えたりして、視聴者が最終的に見るアニメーション映像をつくます。

・カメラマンとキャメラマンの違いって?


業界人が映画のカメラマンのことをキャメラマンと呼ぶことがあります。
実はこれには意味があり、カメラマンは静止画を撮る専門家、キャメラマンは映像を撮る専門家のことを指します。
どちらもカメラマンといってしまうと、写真なのか映像なのかわかりづらくなるからそう呼び分けたのだそうです。
撮影監督はどんな働き方をするの?

撮影監督は映像制作会社に就職

撮影監督は、映像制作会社に就職して働くのが一般的です。
映画のカメラマンとして下積みからスタートして、会社組織にもよりますが約10年ほどかけて撮影監督となるようです。
下積み時代を終えて撮影監督になると、従業員としてそのまま働く人と、独立してフリーで活躍する人がいます。
勤務時間や休日は、撮影の進行に合わせるので不規則になりがちです。
撮影監督はどんな人に向いているの?

撮影監督には映画の映像が大好きな人に向く

映画の映像が大好きな人が撮影監督に向いているといえるでしょう。
映画作品をビジュアルで効果的に表現するため、映画のシナリオの理解力、アーティスティックなセンスがあり、映像表現についての日常的な努力を継続できる人は向いているでしょう。また映画監督や、照明や衣装など画づくりにかかわるさまざまなスタッフと打ち合わせをする仕事なので、コミュニケーション力の高い人が向いているでしょう。
撮影監督の将来展望は?

撮影監督の将来展望 ネットの動画配信にかかわる仕事が増える

近年、インターネットの動画配信サービスを利用する人が増えており、映画を自宅で鑑賞する人も多くなってきています。
撮影監督にとっては、インターネットの動画配信サービスにかかわる仕事が増えていくことが予想されます。
撮影監督にはこうすればなれる!

撮影監督になるには?必須の資格はない

撮影監督になるための、必須の資格などはありませんが、映像系の専門学校か工学系の大学を卒業し、映画制作会社や撮影スタジオに就職するのが一般的なルートです。
なかには、フリーランスで活躍している撮影監督にアシスタントとして弟子入りして業界へ入る人もいます。

専門学校や大学にいく場合、在学中も受け身で技術や知識を教わるだけでなく、自分で映像作品をつくったり、積極的にコンテストに応募したり、業界との人脈をつくるチャンスを活用する人が多いようです。
映画業界は、技術はもちろん、人とのつながりも大切だからです。

撮影監督になるためには修業期間があり、実際の現場ではサード、セカンド、チーフという撮影アシスタント制度が存在します。
そのようなアシスタント経験を積んで幅広い知識や技術を磨いたすえに、撮影監督と呼ばれ、映画の画をつくる責任者としての大きな役割と責任を担うことになります。